ファッション誌トップシェア、宝島社の女性誌マーケティングの秘密(中)--実演販売、アウトレットまで多様な書店応援策

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出版の枠を超えるマルチメディア商品

『ブランドムック』は、既存の出版物と異なる、いわゆる「マルチメディア商品」と呼ばれているものであるが、ファッション関連にとどまらず、その他にも、美顔器、調理器具、健康グッズ、節電対策グッズ、知育、文房具、扇子など、これまでの出版物の形態に捉われない、グッズが主役となった商品を発売している。宝島社には、パッケージを基に企画を考えるというルールがない。ます企画が始めにあり、その企画がどのようなパッケージだったら合うのか、例えば、単行本が良いのか、新書が適しているのかを考慮し、出版の形態を決定している。

編集部は、出版社の財産である出版流通を活用して提供できる、より多くの方に喜ばれるコンテンツ企画を日々行っており、その発想の中でマルチメディア商品は生み出されている。なかでも『スッキリ美顔ローラー』は260万部の大ベストセラーとなった。

マーケティング本部で雑誌を読まない層を開拓

宝島社は、07年から“出版社は企業、雑誌は商品”と捉えて、“雑誌を読まない層をターゲット”にマーケティングプロジェクトをスタート、新たな読者の開拓に取り組んできた。11年3月には、さらなるマーケティング強化のため、マーケティング本部が新設された。広報と宣伝を統括し、全社一丸となって恒常的なマーケティングを行うためである。

マーケティング本部新設とともに始まったのが、「売るため」会議だ。既刊・新刊ともにマーケティングミックス4P(製品・定価・流通・プロモーション)で工夫をすればまだまだ売れる商品を発掘し、ベストセラーにする。マーケティング本部や書店営業が対象商品を決め、営業、編集、宣伝、広報など、現場のさまざまなメンバーでアイデア出しのブレストを行い、今後の売り方を検討していく。この「売るため」会議から生まれたベストセラーが宝島社文庫『読むだけですっきりわかる日本史』で現在、100万部を発行している。

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