日銀「緩和補完」をめぐるドタバタ劇の顛末 日米2大イベント終わり市場はオフモード

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もちろん、ここまでの原油安は多くの機関投資家にとっても大誤算で、マーケットの最大波乱要因となっている。ISM製造業景況指数は50を割り右肩下がりだし、フィラデルフィア地区連銀が17日発表した12月業況指数はマイナス5.9で、11月のプラス1.9から低下した。過剰在庫を減らしている製造業の苦しい状況を考えると、連続利上げの風は順風とは言えず、手放しで安心できるアメリカ市場ではない。

日銀の発表に現場は大混乱

さて、18日金曜日は日本でも重要イベントの日銀政策決定会合があった。ちょうど発表時間が筆者の番組本番中とぶつかり、「緩和補完」の解釈でバタバタするなど投資家の皆様には申し訳なかったが、とてもエキサイティングな時間となった。

第1報は、若干誤報に近い「現状維持」だった。日銀が「追加緩和」ではないという見解だったので、秒単位の競争をしていたメディアのどこかが「現状維持」をスクープ、各社が追随したのだ。ところがその直後、「3000億円(ETF追加枠)賛成6反対3」と同時に「緩和を補完」と伝わって現場は混乱した。

高速システム売買は「日銀動く」で一気に走り、12時55分、あっという間に1万9869円08銭の高値を付けた。その後「補完」ってなんだという疑問から先物に売りが出て、売りシステムが稼働。高値から一気900円安となり、一般投資家はあぜんと見ているしかなかった。良い子の皆様には関係ありませんが、逆指値を使っているトレーダーでも、あまりの速さに追いつかず、しっかり損を出してしまったそうだ。

とにかく、2大イベントが終わり、今週(21日~)から落ち着くと思っている。週末のダウは大幅安だったが、米SQでかなりの決着がついたのではないか。今週の外国人投資家は、もうほとんどがクリスマス休暇で市場にいない(休まないごく少数の人たちが、品薄状態を利用し悪さをするかもしれないが)。

今週の予定は、国内では25日に11月全国消費者物価指数、12月東京都区部消費者物価指数。海外では22日に7~9月期米GDP確定値、7~9月期の米企業収益確定値、レッドブック週間小売売上高、23日に11月米耐久財受注、11月新築住宅販売、12月ミシガン大消費者景況感指数確定値、そしてEIA週間原油在庫となる。24日に週間新規失業保険申請件数があるが、この日は短縮取引で翌25日は休場。日本も祝日をはさみ、今年の収益を調整する1週間になりそうだ。今週(21日~25日)の日経平均予想レンジは1万8550円~1万9250円。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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