公開価格の1.9倍の初値つけ好発進のワイヤレスゲート。公衆無線LANで最大会員数武器に積極展開

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その強みを盤石にしているのは、同社がもつヨドバシカメラという強力な販売力だ。ワイヤレスゲートの筆頭株主はヨドバシカメラ。07年10月の業務提携を経た後、08年3月から資本提携。その後も複数回の第三者割当増資をヨドバシカメラ向けに実施し、上場直前は17%を保有する大株主になっていた。このヨドバシカメラとの提携が、ワイヤレスゲートの強力な武器となった。ヨドバシの店舗でスマートフォンやタブレット端末を販売する際に紹介されるのが、コストパフォーマンスに優れたワイヤレスゲートのサービスなのだ。

「家電量販店にはいろいろあるが、商品説明能力がヨドバシカメラさんはすごく高かった。ヤマダさんは大量に仕入れて粗利は薄くてもいいので説明せずに売れるものを大量に売る、というビジネスモデル。それに対し、ヨドバシカメラさんは粗利の高い最先端の商品をきちんと説明して売っていく戦略。われわれのサービスはきちんと説明してもらわないと良さがわかってもらえないので、そうなるとヨドバシカメラさんしかない。そこで、われわれのほうからアプローチさせてもらい、販路がぐっと広がった。ヨドバシカメラさんへも毎月毎月成功報酬ベースでわれわれの利益を還元しており、ストック型のビジネスを出資者さん側にも提供できている」(池田社長)というのだ。

ワイヤレスゲートの現在の売り上げのほとんどがヨドバシ経由。特に、ルーターや内蔵PCの販売を伴うWiMAXについては全量ヨドバシだ。ただ、WiFiはIDの販売のみのため、自社のオンライン経由でも3割を売り上げているという。単価はWiMAXが10倍高いため、足元の売り上げ構成はWiMAXが大きく上回る状況だ。

今後の販路拡大策としては、携帯ショップに狙いを定める。すでに「準備をしていて、本格提携を近々リリースできる」(池田社長)。商品説明をしっかりしているところが、望ましいという。また、上場により調達した資金も使い、次世代通信規格のLTEへの投資も進める。今後の展開で期待するのが、高速通信環境が生きる動画などのコンテンツの投入という。

8月3日には、上場後初となる上期(12年1月~6月期)決算の発表がある。今12年12月期は上場費用が乗っかる期ではあるが、第1四半期(1~3月期)の営業利益率は12.3%(前11年12月期通期は同11.2%)まで高まっているだけに、注目が集まるところだ。

(山内 哲夫 =東洋経済オンライン)

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