西鉄の訪日客対策は、「五輪の先」を見ている 沿線活性化に向け、どこまでも踏み込む!
一方で、海外に向けての情報発信や、現地での施策にも力を注ぐ。なかでも旅行博などでのプロモーションは功を奏し、九州内の高速バスや路線バスで利用できるフリーパスは、ついに海外での販売数が国内のそれを上回るところまで来た。
西鉄が展開するホテルチェーン「ソラリア西鉄」は、今年9月に韓国・ソウルで初の海外進出を果たし、2018年度中にはタイ・バンコクでのオープンも予定している。少しずつブランド認知を上げ、日本を訪れる際のバス、鉄道、ホテルなどの利用につなげることを狙うほか、「西鉄のある福岡」に興味を持ってもらうきっかけにもしたい考えだ。
あらゆる方面から「困りごと」を集める
2020年の東京オリンピックに向けては、全国各地でインバウンド強化の動きがみられる昨今。だが、西鉄の考えるインバウンド施策は、さらにその先まで見据えているようだ。
「将来の人口減を考えると、海外からの移住者増も踏まえた街づくりを検討する必要がある。インバウンドをテーマに各事業部でさまざまな取り組みをしている が、その過程で『嬉しいことは何か、困ることは何か』を探り、海外の人にとって『過ごしやすい街』の姿を模索している段階」(西鉄・事業創造本部の藤田浩展副部長)。
交通機関や宿泊・商業施設の運営から見えてくる訪日客の「困りごと」は、そのまま移住者のための施策に生かす蓄積にもなるだろう。
西鉄バスが連なって走る風景は、地元に根づいた存在であるとともに、ひとつの福岡名物でもある。そんな西鉄がベンチャー支援や農業、街づくり、インバウンドと、多方面で取り組む地方創生。人口減と沿線の衰退を食い止められるかは、今後も大胆な施策を打ち続けられるかにかかっているだろう。
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