西鉄の訪日客対策は、「五輪の先」を見ている 沿線活性化に向け、どこまでも踏み込む!

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今年7月に完成した「サンメディラック飯塚」。バスターミナルと地域医療、居住空間を備えている

一方、西鉄大牟田線沿線の小郡市でも、西鉄主導の新しい形の街づくりが始まっている。三国ヶ丘駅に隣接するかんぽのレクリエーション施設跡地に、戸建や分譲マンション、シニアマンションを建設。医療施設やコミュニティ施設を充実させ、子育て世代からシニアまで、どの世代にも暮らしやすい街の開発を進めている。

この地域の最大のウリは、駅を中心に街全体がコンパクトな設計になっている点。今後は警察等との連携もいっそう深め、防犯や防災といったタウンマネジメントを強化していく計画だ。

「エリアにおいて、まずその街のあるべき姿を考え、5年後、10年後にどうなっているべきか、中長期的に検討する」。西鉄が手掛ける街づくりの基本方針について、まちづくり・交通企画部の渡辺満生部長はこう語る。

自治体との協働が功を奏した

幅広い年代にとって住みやすい街を新たに創造する「三国ヶ丘プロジェクト」も進行中

マンション・戸建の販売やビル賃貸などの不動産事業は、西鉄にとってもともとグループの中核事業の一つ。しかし、そこからもう一歩踏みこんだ、周辺の街づくりにまで力を入れるようになった背景には、別の事情もある。

福岡市中心部を除き、多くの地域で人口の減少が進む西鉄沿線。前回記事でも触れたとおり、通勤・通学者の減少は、鉄道・バス事業にとって大打撃となる。魅力のある街を作り、沿線に住む人を増やすことは、西鉄にとって急務なのだ。

人口減は自治体にとっても大きな問題である。ゆえに近年では、飯塚の事例をはじめ、自治体と西鉄が協働するケースも増えてきているという。ともに対策に取り組むことで、スピード感のある意思決定ができ、双方のメリットも大きくなっているようだ。

そして訪日観光客数が激増する今、福岡でもこの需要を取り込むことが、地域活性化の重要なカギになっている。西鉄では福岡有数の観光地である太宰府や柳川で、地元の企業・団体とともに、駅周辺の整備や観光資源の再開発に取り組んでいる。

また西鉄は、訪日観光客向けバスツアーなどの商品開発や主要駅の多言語対応など、主力事業の範囲内でも外国人の利便性アップに邁進する。駅ビル内の観光案内所横には銀行の外貨両替店を誘致。来年春には三越伊勢丹等と協同で天神に空港型免税店(Duty Free)をオープンする計画も進んでいる。

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