「酔っ払い対策」関西の鉄道はココまでやる! 忘年会シーズン!ホームからの転落防止策

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一方、首都圏での対策として多いのはホームドアの設置だ。JR山手線では全29駅のうち20駅で設置が完了、さらに3駅で今年度中の稼働開始が予定されている。東京メトロでも設置が進み、丸ノ内線や有楽町線、副都心線などのほぼ全駅で導入を終えている。

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山手線では20駅にホームドアが設置されている

銀座線や日比谷線でも設置に向けた準備が進められており、12月7日の記者会見では銀座線で初めて、上野駅の1番ホームに12月20日、設置されることが発表された(稼働開始は2016年3月12日の予定)。

同駅ではホームドアのほかに、ホームと車両の間への転落を防ぐ可動ステップも設置される。

また、東急電鉄ではホームドアが設置されるまでの間、乗降部以外の場所に安全柵を設置するなどしているが、この安全柵は「ホーム端は危険な場所だ」ということを知らせる効果も見られ、ホーム端を歩く乗客が減ったそうだ。

ホームドアの効果は絶大で、意図的に飛び越えないかぎり線路への転落が不可能になるため、設置駅での事故はゼロになる。「できればホームドアを設置するのが理想であり、可能なかぎり導入していきたい」(東京メトロ広報部)というのが各社の考えだ。

関西でホームドア設置が進まない理由

首都圏の各路線は車両の長さやドア数が統一されていることが多く、ホームドアの導入がしやすいという面もある。逆に、同一路線で異なるドア数の車両が走っている場合、ホームドアの設置は難しい。

山手線から6ドア車がなくなった理由の1つは、山手線にホームドアを設置する際、異常時にその線路上を走る可能性がある京浜東北線とドアの位置を揃える必要があったためだ。

こういった事情は関西でも同様で、JR大阪環状線ではホームドア設置に向けて3ドア車の開発を進めているが、莫大な投資が必要となることもあって、なかなか進まないのが現状のようだ。

鉄道事業者もハード・ソフト両面で多様な対策をしているが、われわれ利用者も「ホームの端を歩かない」という基本をいま一度肝に銘じるとともに、お酒はくれぐれもほどほどにしたいものだ。
 

伊原 薫 鉄道ライター

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いはら かおる / Kaoru Ihara

大阪府生まれ。京都大学交通政策研究ユニット・都市交通政策技術者。大阪在住の鉄道ライターとして、鉄道雑誌やWebなどで幅広く執筆するほか、講演やテレビ出演・監修なども行う。

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