許せない!悪徳リフォーム業者の卑劣な手口 あなたの親も狙われているかもしれない

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佐藤さんはA社から屋根の傷みを指摘されていたことも気になっていたので、B社に屋根を見てもらうことにした。

B社の男から見せられたのは割れた屋根裏の写真だった。「これは屋根瓦を至急修理しないと雨漏りのために、家が傷んでしまいます。モニターになっていただければ200万円で直せますが、その募集期限が今日までなんですね」

A社と比べて安い。即決で工事を依頼

佐藤さんはA社が提示した500万円の修理代金と比べて、200万円なら安いと思った。それも今日を逃したら、この金額では頼めない――。佐藤さんは即決でB社に工事を依頼した。

ところが、屋根の工事が始まるとB社は「ついでにほかの箇所も見ておきます」と家のあちこちを点検し、不良箇所を指摘し始めた。たとえば床下。「湿気対策が不十分なのでシロアリがいる形跡があります。屋根の雨漏りが床下にまで及んでいるのかもしれません」などとまくしたてられ、次々と新しい工事の契約を結ぶことになった。結局、工事代は1200万円まで膨れ上がってしまった。

すでにお気づきだろう。これは悪徳業者が仕組んだ巧妙なリフォーム詐欺だ。A社とB社はグル。佐藤さんがB社から見せられた写真は、あらかじめ用意されていたよく似た家の割れた屋根裏を撮影していたもの。先にA社から高額な見積もりを吹っかけられていた佐藤さんは、それよりも安いB社の修理代金を提示されたことで「安い」と思ってしまっただけなく、迷わせないように「本日まで」と契約を急がされたのである。

訪問販売による悪徳なリフォーム工事は後を絶たない。国民生活センターに寄せられる相談件数は2010年以降でみると年間6000~7000件程度で高止まりしており、2015年も上半期だけで3546件(前年同期は3608件)の相談が寄せられた。このうち、何らかの理由によって十分な判断ができない「判断不十分者契約」は5%程度を占めている。

悪徳リフォーム業者が標的にするのは高齢者だ。相談相手がおらず、判断能力が低下してきているのをいいことに、あの手この手でだます。それも突発的にやっていない。狙いをつけた地域で入念な下見を行い、そこにどんな年齢の人が住んでいるのかを把握したうえで、たとえば高齢者の女性には、その人の子どもと同じ年頃の人間を営業に送り込む。相手の心に付け込み、同情を引くのである。

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