ホンダが定年延長でシニアを戦力化した理由 人事制度を刷新、全社員にも変化を促す
前出の松浦民恵主任研究員は、ホンダの改革の方向性を評価したうえで、「高齢者雇用はこれまでは福祉的な側面が強かったが、バブル世代の定年を10年後に控え、大企業も人材戦略としての高齢者雇用に舵を切らざるをえなくなるだろう」と話す。
ホンダの人事担当者も「多様な立場の人が力を発揮してもらうことで会社も発展していきたい」と話し、定年延長は「人材活用」に主眼が置かれていることを強調する。
総人件費は同程度に抑える方針
ホンダは、定年延長制度の導入と合わせて、給料における成果主義の拡大や時間外手当の割増率の削減、国内出張日当の廃止も実施する方針だ。こうすることで、総人件費は現行と同水準に抑える。社員の働きぶりや能力に応じた処遇にウェイトを置くことで、社員の働き方にも変化を促す。
またシニア社員の活用だけでなく、子育てや介護に関連する制度の拡充も進める。在宅勤務制度を新設し、小学4年生までの子どもを持つ社員や要介護者が家族にいる社員が利用できるようにする。
家族手当の見直しにも着手する。これまでは、専業主婦(夫)を含む1人目の扶養家族に対して1万6000円、2人目以降は1人当たり4800円を支給してきたが、これを段階的に廃止し、育児・介護手当を新たに導入。扶養する18歳までの子どもや要介護者に1人当たり2万円を人数に上限を定めず支給する。
「会社の活力をより高めていくためにはどうすべきだろう」と2年以上かけて労働条件の見直しを労使で検討してきたというホンダ。会社の飛躍に新制度を活かすことができるか、注目が集まる。
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