イオンが英テスコの日本店舗117店を1円で取得、“仕切り直し”で実った交渉
看板は当面は現状を維持するものの、ミニスーパー「まいばすけっと」や食品スーパー「マックスバリュ」などへの転換が軸になる見通し。たとえばPB「トップバリュ」の陳列など、運営面での改善は看板替えに先駆けて順次進める。
テスコの店は店舗面積がまちまちで、看板も「テスコ」「つるかめ」など多岐にわたるなど、今後の運営ではイオンが苦労する可能性もまだまだ残っているが、都心部中心に117店の立地を一気に獲得できたメリットは大きい。コンビニ首位のセブン-イレブン・ジャパンを要するセブン&アイに比べ、都心部でのイオンの店舗展開はなお手薄。神奈川や東京・大田区、世田谷区、品川区などでミニスーパー「まいばすけっと」の出店を加速しているが、つるかめの多い東京・杉並区や練馬区はこれからだからだ。
まいばすけっとだけではない。イオン店舗内の専門店から独立採算を計っている「イオンリカー」(酒店)、「イオンバイク」(自転車店)などの単独出店候補としても有力な立地候補となりうる。実際、今回の契約とは直接関係がないが、イオンリカー1号店の行徳店はつるかめ退店跡への居抜き出店だ。立地によっては、グループのコンビニ「ミニストップ」や総菜の「オリジン弁当」、さらにドラッグストアなども選択肢に入りうる。
「店舗の一括売却と従業員の雇用維持を最優先に交渉した」(テスコ)というテスコに対し、価格面でイオンが折り合えたことが成約につながった。食品を中心とした都心部での小型店競争が、新たな局面を迎える。
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