公的資金の返済は進展大 欧州でアセットの買収も--チャーティスCEO ピーター・ハンコック

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公的資金の返済は進展大 欧州でアセットの買収も--チャーティスCEO ピーター・ハンコック

リーマンショック後、流動性問題から一時は瀬戸際に立たされた米国保険グループのAIG。直近では非中核事業売却などにより公的資金返済も順調に進み、グループの業績も総収入643億ドル、純利益206億ドル(2011年度)と回復傾向だ。その中核企業がグループ売上高比率66%を占める損害保険会社のチャーティス。同社は日本国内でAIU保険、アメリカンホーム保険、富士火災海上保険を中心に損保・生保事業を展開する。来日したチャーティスCEO、ピーター・ハンコック氏に今後の戦略などを聞いた。

──AIGグループへの公的資金は現状どうなっていますか。

公的資金の返済は大きな進捗を見せている。08年からノンコア事業を売却し、ピーク時に1823億ドルあった米国政府(財務省)やFRB(米連邦準備制度理事会)からの投融資額(資金枠を含む)は、今5月時点で普通株への出資300億ドル、不良資産受け皿会社メイデン・レーン3へのシニアローン87億ドル(投資残高)のみになった。FRBの融資は、計画より2年半早く11年1月に完済。米国政府の持ち株比率も、昨年1月は92%だったが、この間、政府による売却が進み、現在61%まで低下してきている。

ノンコア事業売却を続けAIG株買い戻し拡大も

──公的資金完済への見通しは。

政府による株式売却には二つの重要な要素がある。一つは市場の安定性。もう一つは、当グループが保険会社としてきちんとした業績を上げていくことだ。われわれができるのは後者であり、ここに全力を注ぐ。コアの保険業務は好調な成績を収めており、市場が安定性を保つことができれば、政府も出口戦略を進め、早ければ年内にも全株を売却できる可能性がある。

過去3カ月、当グループは政府から50億ドルの株式の買い戻しを行った。ノンコア資産の売却額にもよるが、さらに自社株の買い戻しを拡大することもできる。売却が考えられる資産としては、アジア地区の生命保険AIAに対する持ち分80億ドル、メイデン・レーン3に対する持ち分70億ドル、そして新規上場を予定している航空機リースのILFCの資産価値も75億ドルある。ただ、株価が非常に高騰すれば、こうした資産売却による自社株の買い戻しではなく、違った分野で資本の使い道が出てくる可能性もあるだろう。

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