「約120万kl→約68万kl」しょうゆの国内消費激減で苦戦かと思いきや…キッコーマンが懐に忍ばせる需要確保の"切り札"
転機となったのは70年代後半。国民の健康意識の高まりとともに、医療機関での実績が評価され、家庭用市場への展開が進んでいった。
こうした動きを受け、キッコーマンは一般家庭で使いやすい容器の開発にも乗り出し、80年に「減塩しょうゆ 500ml」、84年には「減塩しょうゆ 150ml卓上びん」を相次いで発売した。
さらに広告宣伝にも積極的に取り組み、84年には「健康に気をつけだしたら、味に敏感になった」というキャッチフレーズで「おいしい減塩しょうゆ」を訴求。こうした販売促進策の効果もあり、減塩しょうゆは次第に一般家庭の食卓へと浸透していった。
“香り”が足りない…
減塩しょうゆの開発において、大きな課題となったのが“おいしさ”である。しょうゆのおいしさは、色・味・香りのバランスで成り立っており、その重要な構成要素である塩分を減らすことは、全体の設計を根本から見直すことを意味するからだ。
「特に難しかったのが、香りの扱いです。減塩しょうゆは、味の重要な構成要素である塩分が少ないため、その不足をどのように補うかが商品設計のポイントとなりました。
減塩しょうゆの製法には、大きく分けて2つの方法があります。1つは、海水から塩を取り出す技術を応用し、イオン交換膜を使ってしょうゆから塩分だけを取り除く『脱塩法』。
もう1つは、しょうゆを通常より濃く仕込み、後から水で薄めて塩分濃度を下げる『希釈法』です。希釈法では、香りが薄まり、やや物足りない風味になってしまうという課題がありました」(キッコーマン株式会社コーポレートコミュニケーション部 五味義幸さん 以下同)
そこで同社は、「脱塩法」を採用。さらに、塩味の不足を補うため、醸造工程で香りを増やす工夫を重ねた。その結果、減塩でもおいしいと評判を呼び、幅広いシーンでの需要が高まっていったという。




















無料会員登録はこちら
ログインはこちら