【産業天気図・電子部品】電子部品は前半「曇り」もアップル製品やウルトラブック効果で後半にかけ「晴れ」へ転じる
12年4月~12年9月 | 12年10月~13年3月 |
曇り空に晴れ間が見えつつある。 電子部品業界は12年1~3月期が底だった。12年度前半は「曇り」だが、後半は「晴れ」となりそうだ。
前11年度後半の失速は、薄型テレビなどAV機器用、PC用の在庫がダブつき、タイ洪水の影響も受けたことによる。ただ、タイ洪水の影響は各社の努力によって徐々に薄れてきた。顧客の在庫調整も一巡し、今夏以降は主要プレーヤーの多くが再び成長路線に乗れそうだ。
まずは市場の動向を示す。部品大手、村田製作所が公表した2013年3月期の部品需要予測によれば、薄型テレビは2.4億台(前期比7%増)、携帯電話は17.5億台(同12%増)、PCは4.9億台(同20%増)とそれぞれのびる。携帯電話のうちスマートフォンは7.6億台(同5割増)と大幅な成長が見込まれる。 薄型テレビは日本市場での動きは依然鈍いものの、新興国におけるブラウン管からの置き換え需要は底堅いだろう。
市場の伸びを牽引するのは、アップルのスマートフォン「アイフォーン」シリーズや、タブレット端末「アイパッド」向けの増産である。
セラミックコンデンサーを主力とする村田製作所は、「0402」と呼ばれる超小型品を「アイフォーン5」(アップルが年内に投入予定)向けに納入する見通し。村田製作所は超小型のセラミックコンデンサーの市場で6~7割のシェアを握っている。3月に発売された新型アイパッドにも部品を納入している。国内生産比率が7割強と高く、円高の影響を大きく受けていてもアップルとの“協業”体制で増益基調を維持できるだろう。
TDKやロームといった大手メーカーもアップル製品の恩恵を受けそうだ。水晶デバイス大手の大真空は前12年3月期タイ洪水の影響で想定外の失速を余儀なくされたが、今夏以降は生産も順調に回復し、“アップル効果”を前提に伸びが期待できるだろう。
アップル向け製品以外で目立つ動きとしては、PC用の部品生産の回復がある。本格的な回復時期は12年後半と見込まれる。インテルが提唱する薄型軽量ノートPC「ウルトラブック」向けの成長が大きい。前期、PCメーカーの在庫調整の影響を余儀なくされた主要な部品メーカーも、今期はウルトラブック量産の恩恵を受けそうだ。また、アイフォーンの競合であるサムスンの「ギャラクシー」シリーズ向けにも当然部品需要が発生する。サムスンはグループ会社からの調達に重点をおくが、大量生産を前提に複数購買体制も強化するだろう。
ニッチだが好採算の分野で成長可能性を探る動きも目立ってきた。精密小型モーターを収益柱とする日本電産は、新分野でグローバルでの開発・生産・販売体制を構築しようとしている。M&Aは「当社がシェアの低い車載用や産業用」(永守重信社長)を中心に積極化していく方針。近々にも業界再編が進む可能性が高い。
※シェアや納入先は東洋経済推定
(前野 裕香 =東洋経済オンライン)
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