「過去の依頼も演出だった?」「もはやヤラセでは」との声も…小6男子"ヤングケアラー"動画で炎上「探偵!ナイトスクープ」演出告白が生む波紋

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他局番組の決めぜりふのように、「信じるか信じないかはあなた次第」と予防線を張るならまだしも、ナイトスクープでそうした“演出”はされていない。最近はやりのフェイクドキュメンタリー(ドキュメンタリー仕立てのドラマ、「モキュメンタリー」とも呼ぶ)とも打ち出されていない。

なによりの問題は、これまで40年間で紹介してきた依頼に、すべて“演出”が加えられていた可能性すらも示してしまったこと。まさに受け手に任せるスタイルだからこそ、「信じていたのに」「もはやヤラセでは?」と、ファン心理が一気に悪感情へ転ぶおそれがあるのだ。

ここで少し視点を変えて、なぜここまで炎上したのかを考えたい。その主要因としてはSNSの普及もあるが、単純に人の目に触れやすくなったことも理由と言えるだろう。「時代に合わなくなっているのかもしれない」と感じるのは、視聴習慣の変化にもあるのだ。

具体的には、TVerによる「見逃し配信」の登場だ。早ければ放送終了直後から、全国各地の番組をチェックできるようになったのは、視聴者にとってはありがたい限りだ。

実は、東京に生まれ育った筆者にとって、ナイトスクープを見るのは長年至難の業だった。ABCはテレビ朝日系列だが、キー局であるテレ朝では放送されていない。厳密には20〜30年ほど前まで放送されていた時期はあったが、平日早朝など数年おきに放送時間が移り変わり、最終的に打ち切られてしまった。

そして現在は、TOKYO MXやtvk(テレビ神奈川)、テレ玉(テレビ埼玉)といったローカル局で流れている。ただ、これでもなお、リアルタイムにはほど遠い。各局の番組表を見ると、tvkは1カ月半前の内容が流れているが、MXは5カ月前、テレ玉に至っては9カ月前のものが放送されている。

視聴習慣の変化が、今回の問題を生んだ

それが放送直後から、日本中で見られるようになった。ナイトスクープのTVer配信開始は2016年からと早いが、コロナ禍を経て、見逃し視聴の需要が高まった結果、より目に付きやすくなったと考えられる。

SNSの話題は、良くも悪くも東京発信のものが中心になりがちだ。しかし関東圏では、ローカル局での時差放送だったため、そもそも認知度が低く、燃えにくかった。だからこそ、炎上を避けるためのリスクヘッジが乏しかったのではないか。そして、結果として火は一気に回り、番組側が予想しないほどの火力に燃え広がってしまった。

ここまで見てきたように、番組コンセプトの受け止められ方と、視聴習慣の変化が、今回の問題を生んだと考えられる。「多くの人が、ほぼリアルタイムに視聴できる」ことは、「反応できる」こととイコールだ。利便性や収益性を代償に、「燃えにくさ」を手放したと言ってもいいだろう。

加えて、SNS時代では、わかりやすい結末が求められがちな点もある。今回で言えば「行政の介入」をゴールに設定して、それ以外の着地点を許容しないであろうユーザーは多々見られる。その結果、議論は「親の是非」に収束してしまい、“演出”が公表されてもなお、親へのバッシングは絶えない。一度振り上げた拳は、なかなか下ろすわけにはいかないのだ。

かくして番組サイドの要望により、火消しどころか、火に油を注いでしまった。新たな論点として「演出と“やらせ”の差異」が加わることで、怒りの矛先は「親」と「局」に細分化。ナイトスクープの追加声明は、皮肉にも「現代社会を複雑に入り組ませる」行動となっているのだ。

城戸 譲 ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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きど・ゆずる / Yuzuru Kido

1988年、東京都杉並区生まれ。日本大学法学部新聞学科を卒業後、ジェイ・キャストへ新卒入社。地域情報サイト「Jタウンネット」編集長、総合ニュースサイト「J-CASTニュース」副編集長などを経て、2022年秋に独立。現在は東洋経済オンラインのほか、ねとらぼ、ダイヤモンド・オンライン等でコラム、取材記事を執筆。炎上ウォッチャーとして「週刊プレイボーイ」や「週刊SPA!」でコメント。その他、ABEMA「ABEMA Prime」「ABEMA的ニュースショー」などネット番組、TOKYO FM/JFN「ONE MORNING」水曜レギュラー(2019.5-2020.3)、bayfm「POWER BAY MORNING」などラジオ番組にも出演。政治経済からエンタメ、炎上ネタまで、幅広くネットウォッチしている。
X(旧ツイッター):@zurukid
公式サイト:https://zuru.org/

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