消費税は、所得税や社会保険料と比べて、負担の世代間格差が小さい。
40代や50代の所得税・住民税・社会保険料の負担は、課税前収入に対して20%強だが、消費税負担は3%程度である。他方、70代、80代の所得税・住民税・社会保険料の負担は、課税前収入に対して10%強だが、消費税負担は4%強である。世代間での負担の格差は、所得税・住民税・社会保険料では、課税前収入に対して10%ポイントもあるが、消費税負担では1%ポイントしかない。
それだけ、所得額に比して負担を求めるよりも消費額に比して負担を求めたほうが、世代間格差を縮めることができる。
現役世代の負担軽減が求められている今、所得課税から消費課税へとシフトさせることが、それを実現する早道である。図らずも、前述のように所得税減税が行われており、消費税の標準税率を引き上げることで、それが実現できることになる。
1%ずつ消費税率を引き上げればインフレに埋もれる
消費税の標準税率をさらに引き上げることで財源を確保するなら、昨年ガソリン税の暫定税率を廃止したことによって失われた税収でまだ財源が確保されていない部分を、それで補うこともできる。さらには、飲食料品の消費税率を0%にすることで、テイクアウトとイートインの税率差が大きくなり外食産業が打撃を受ける問題に対応するために出す補助金に使うこともできる。
今後、税と社会保障について超党派で議論する枠組みとして「国民会議」で俎上に載せるとされている「給付付き税額控除」のために、給付の財源が必要なら、その財源もこれで賄うことができる。
これらを賄おうとすると、標準税率は順次15%にする必要はあろう。いきなり増税は無理とするなら、毎年1%ずつ税率を引き上げるという手立てもある。いまや、物価が年率3%で上昇しているわけだから、1%の上昇は他の物価上昇要因と区別がつかない程度のものである。
今すぐに、飲食料品の消費税率を引き下げることは、消費を刺激して物価高騰をあおるから、物価高対策としては意味がない。
ただ、何が何でも飲食料品の消費税率を引き下げるというなら、前掲したわが国の諸課題を解決する意味でも、消費税の標準税率を引き上げることで財源を確保することだろう。
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