中国が東シナ海に漁船2000隻を動員して470kmのU字線を形成していた! 技術と動員体制の確立で進む軍民融合、春から海上民兵の活動が常態化か
議論の前に、まずこの動員の信憑性を検証したい。実際、ingeniSPACEも、当初はAIS信号偽装(スプーフィング、なりすまし)を疑ったという。クリスマスの大規模集結当時、周辺海域は厚い雲に覆われていたため、商業用光学衛星画像で船の存在を確認することはできなかった。だが集結前後の状況を見たところ、漁船は海上に実在していた。
前述のニューヨーク・タイムズの記事は、他社の情報も使いながら、1月の動員について一部海域をズームアップして検証している。漁船はそれぞれ1点を中心に、似たような方向・大きさの弧を描きながらわずかずつ動いており、海面から錨を下ろして集団で停泊していたように見えた。スプーフィングにしてはあまりに芸が細かい。
スプーフィングは24年以降、報告事例が世界的に急増したが、ロシアが23年5月に黒海に描いたとされる「Z」字は一辺が65kmだった。数百kmにわたる偽装は技術的に容易でない。
しかも、中国側にもこの動員を示唆する報道が存在していた。AIS情報によれば、漁船の大半は浙江省から出港していた(一部、山東省などからも)。中国政府は関連の航行警報などは出していなかった。
海上民兵の訓練の可能性が高い
しかし、2000隻の動員が始まる直前の25年12月21日には、福建省厦門市の党委員会で軍事と海上防衛を議論する会議が開かれ、民兵部門である人民武装部党委員会の責任者が党の武装管理活動について報告を行っていた。さらに動員の最終日となる12月26日には、浙江省最大の漁業拠点、海軍東海艦隊の大基地がある舟山市でも同様の会議が開かれ、党の管理下でいかに人民武装工作を発展させるかが話し合われた。いずれも、福建省と浙江省で勤務経験がある国家主席・習近平のお膝元だ。
中国人民解放軍は年末に大規模軍事演習を行うことが多く、台湾で「年の瀬のご挨拶」「年賀状」などと揶揄される。2025年には12月29~30日に、台湾島を取り囲む実弾射撃訓練などを行った。その直前に見られた2000隻の漁船の動員は、正規軍の演習に合わせて行われた、海上民兵(人民解放軍経験者などに率いられた、一般漁民を含む民兵)の大規模訓練だった可能性が高い。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら