9月上旬までに3つの政治イベントをこなす中国。共産党の正統性を顕示し、アメリカの牽制も狙う。

7月末から動静の途絶えていた習近平国家主席が、8月20日、標高3600メートルを超えるラサに姿を現した。翌日のチベット自治区成立60周年の記念式典に参加するためだ。
中国メディアはポタラ宮の下で盛大に開かれた式典の様子を熱心に報道。党中央の強力な指導の下、自治区の人々の生活が大幅に向上し、中華民族の団結が高まったと祝福ムードを盛り立てた。
習氏はこの高山訪問で健康不安説を実質的に否定。中国の高級車ではなく、トヨタのマイクロバスから沿道の民衆に笑顔を振りまき、親民路線もアピールした。
中国共産党は「正義の味方だ」と言いたい
興味深いのは、この式典を皮切りに習政権が演出する政治劇が3幕連続で続くことだ。31日から9月1日には天津で上海協力機構(SCO)の首脳会議が開かれる。グローバルサウスの団結を強化する中国の意向で、SCOは加盟国、オブザーバー国などの各レベルで拡大中だ。今年はそうしたステータスと無関係なインドネシアのプラボウォ大統領らも出席する。
ロシアのプーチン大統領などの外賓をそのまま北京に移動させ、9月3日には抗日戦争・反ファシズム戦争勝利80周年記念の軍事パレードが実施される。こうした場では通常、実用投入済みの兵器だけが登場する。今回は「殲35」などのステルス戦闘機をはじめ、新型ミサイルやドローンが出てくるのではと言われる。中国がこれまで蓄えた軍事力を、世界に華々しく見せつける場になりそうだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら