「暴行動画拡散」や「教員による盗撮」…なぜ文科省・教委は学校の不祥事に"場当たり的な施策"をするのか《「やったふり」やめて「意味ある」対応を》

✎ 1〜 ✎ 52 ✎ 53 ✎ 54 ✎ 55
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ただ、こうして文科省や教育委員会を批判するばかりでも、あまり建設的な議論にならないかもしれない。なぜ、そうなるのかも考えたい。少なくとも2つの背景事情がある、と私は考える。

1つは、厳しい財政事情のなかで、できることが限られる。例えば、盗撮の問題であれば、校内防犯カメラの設置や公用スマホの貸与などが選択肢だが、すぐに予算化できる自治体は少ない。

もう1つは、社会や議会からの反発や批判をかわそうと、少しでもやっている感を出す、それも短期的に打ち出す必要があることだ。

「場当たり」にならないための提案

この診断、見立てが妥当なら、今後どうやっても解決できない類ではない。やっていけることはいくつかある。ここでは3点提案する。

第1に、予算がそれほどかからない施策の中でも、効果がありそうなものをもっと探していく。先ほどの動画拡散の事例では、入試上の扱いを検討することやSNS事業者に削除要請をスムーズにできるようにする仕組みをつくることなどは、それほど多額の予算は要しない。

第2に、予算を要するものでも、自治体間連携や首長、社会に訴えるなどして、予算獲得していく道筋だ。盗撮問題であれば国・自治体共同で監視を外部委託することは無理難題のようには思えないし、教職員のメンタルケアのために都道府県内の自治体が共同で産業医等と連携して取り組むことなどもできよう。

第3に、私たち社会の目としても、学校でいろいろな問題や不祥事が起きたからといって、ド短期での対策を求めようとしすぎない姿勢が必要ではないだろうか。むしろ、ここで検討したように、真に時間や労力をかけるべき課題はどこにあるのかについて、問うていくことが必要ではないかと思う。

世間を騒がせるような問題について、放置してよいわけではないし、早く子どもたちや関係者に安心感をもってもらうことは大切だ。だが、だからといって、やっているふりをするだけの施策はしないでいただきたい。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
妹尾 昌俊 一般社団法人ライフ&ワーク代表理事、OCC教育テック大学院大学 教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

せのお まさとし / Masatoshi Senoo

徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー。主な著書に『校長先生、教頭先生、そのお悩み解決できます!』『先生を、死なせない。』(ともに教育開発研究所)、『教師崩壊』『教師と学校の失敗学』(ともにPHP研究所)、『学校をおもしろくする思考法』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事