ところが、ストレスチェックをしても、個人に返却するだけという自治体・学校も多い。「あなたは、業務負荷が重いです」など、「言われなくてもわかっとるわい」と反論したくなるシートを返されるだけなら、あまり意味はない。
それに、教職員は忙しいからといって8月の夏休み中などにストレスチェックするところもある。学校の先生にとって8月は最もストレスの低い時期なのに。また、とても忙しい人やメンタルダウンしている教職員はストレスチェックの調査に回答すること自体が「ストレス」なので、回答しないケースもある。
回答率に問題があるにもかかわらず、ストレス値が多少上がった、下がったと教育委員会は一喜一憂する。これでは、何のためにやっているのか、わかったものではない。
ただし、ストレスチェックを集団(学校ごと)分析をして管理職研修などに有効活用できている事例もあるので、この調査自体を否定しているのではない。問題の多くは運用や活用だ。
次に、相談体制があるといっても、日中しか受け付けない、遠方まで出向く必要があるといった状態だと、授業や生徒指導、部活動などがある教員にとっては利用しづらい。同僚に自習監督などをお願いしてまで相談や病院に行ける人はそう多いわけではない。
そもそも、産業医などが教職員にとってなじみがうすく、顔も見えない関係では、わざわざ相談しようという気にもなれないだろう。加えて、産業医といっても、誰でもよいわけではない。学校の実情に理解のある人であり、かつメンタルヘルスの専門家である必要がある。
いくつかの自治体では、産業医や精神保健師にオンラインでミニ研修をしてもらって、顔見知りになったうえで、相談しやすい体制をつくっている。
なぜ、場当たり的な施策となるのか
関連して、最近読んだレジリエンスに関する本に、次の記述があった。レジリエンスとは、困難に直面したときに折れずに立ち直っていく能力やプロセスを指す。
(出所)池田めぐみ・安斎勇樹(2024)『チームレジリエンス:困難と不確実性に強いチームのつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)
先ほどの3つの事例から考えると、教育行政にも、この指摘がかなり当てはまるように思う。解決できる課題へ落とし込むことができていないため、有効な手を打てていない。


















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