「暴行動画がSNSにアップ」→「どうせ無視でしょ…え、もう謝罪したの!?」 大分市中学いじめ「市教委の爆速対応」も"安易に喜べぬ"ワケ

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大分市教育委員会の動きは迅速だった。投稿翌日の夜には記者会見を開き、被害生徒と関係者へ謝罪した。あわせて、動画は25年7月、休み時間中に撮影されたものであり、加害生徒は暴力行為を認めていると説明した。

このところ、SNS上の「いじめ告発」が相次いでおり、突如拡散された際に行政が“爆速対応”できるかどうかに注目が集まっている。その点で言えば、大分市教委の動きはスムーズだったと言えるだろう。

しかし、「対応の遅れ」の判断基準は人によって異なる。今回の件についても、「7月の事案が、どうして半年後に明らかになったのか」として、対応の遅さを批判する声は少なくない。今後さらなるスピードアップが求められ、アラート的に検知する仕組みづくりが重要になるのだろう。

そこで重要となるのは、「SNSで拡散される前に対応できるか」だ。今回、事態把握が迅速に行われた背景には、「証拠」となる動画の存在がある。大分市教委は会見で、当該動画は学習用タブレットで撮影され、生徒のスマートフォンに転送したものだと説明している。

19年から開始された文部科学省の「GIGA(ギガ)スクール構想」によって、教育現場へのICT環境は急速に整備された。いまや児童や生徒1人ひとりに、パソコンやタブレットを配布・貸与する時代だ。コロナ禍での「密」回避も追い風になり、普及は一気に進んでいる。

そうした国家ぐるみの政策が、生徒間トラブルの可視化につながっている側面は否めない。だからこそ、今回のような「表沙汰にならなかったかもしれない実態」が、世間に知らしめられる結果となった。

しかし一方で、現状では“武器”だけ渡されて、使い方と危険性が十分教えられていない可能性がある。このままでは、「使い方を教えてあげよう」と声をかける悪い大人にダマされかねないのだ。

社会経験が少なく純粋な子ども

インターネットの世界は、匿名がベースとなっている。そもそも、たとえ本名を明かしていたとしても、その素性がクリーンとは限らない。現実社会においても詐欺被害が絶えないのだから、ウェブ上であればなおのこと危険だ。

加えて、10代はまだ社会経験が少ない。違和感を察知しても、「世間とはこういうもんか」と消極的に受け入れてしまい、悪い結果につながる可能性は否定できない。その先には、ときに命を落とす危険性すらある。

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