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「暴行動画がSNSにアップ」→「どうせ無視でしょ…え、もう謝罪したの!?」 大分市中学いじめ「市教委の爆速対応」も"安易に喜べぬ"ワケ

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  • 城戸 譲 ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー
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こうした視点を示すことで、「撮影者の特定につながれば、さらなる被害に発展するおそれがある」との指摘は出てくるだろう。確かに、いじめの構図からして考えると、撮影者もしくはインフルエンサーと共有した人物が、「チクったな」と次なる加害のターゲットになることは想像に難くない。

しかしながら、そのリスクは人物が公に特定されなくても、一定程度は避けられない。多くの動画は、加害行為がよくわかる構図や距離から撮影されていて、加害者からすれば「誰が撮ったか」など一目瞭然なのだ。

だからこそ、これらの事案における第三者である大人たちは、「撮った動画を消せ」などとならないように、先回りしてケアできる環境づくりが必要だ。そのためにも、拡散までのメカニズムはしっかり把握する必要がある。

今回のように社会経験の浅い子どもたちが、自らの判断で、デジタルを活用した自衛策を講じること自体は評価したい。しかしながら、本来であれば、大人の側がヒントを与えるべきではないか。もちろん最終的な判断は子どもにあるが、まったくゼロからレールを敷けと言われても無理な話だ。

重要なのは、いじめ問題に向き合うこと

一番の心配は、悪い大人たちにつけ込まれ、搾取されていく危険性だ。闇バイトでは「根っからのワル」ではない若者が、よく社会を知らなかったことを理由に、犯罪に加担して、時に人をあやめている。それと同じ構図が今後、SNSでのいじめ告発で起きてもおかしくない。

タブレットもSNSも、あくまでツールだ。結局はユーザー次第であり、使いようによって、矛にも盾にもなる。現状では良い方向なのかもしれないが、そこに商機を見いだす輩が出てきてもおかしくない。そうなった時に、子どもたちを守れるのか。

あらゆる物事は「なぜそうなったのか」を理解して、初めて知識になり、応用できる。いじめ問題も同様に、「“なぜ”ダメか」をしっかりと伝えず、ただ単に「いじめはダメだ」と連呼しても、むしろ反発を招くだけだ。

だからこそ、学校や教育委員会が、自ら率先していじめ問題に向き合うことが重要となる。個々の事案ごとに「爆速対応」を行うのではなく、ちゃんと構造を解明して、「そもそも発生しない=対応しなくてもいい状態」を作らない限り、同じ悲劇は繰り返されることだろう。

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