台湾の地下鉄で起きた"小さな事件"。日本人ライターが名前も知らない女性に教えられた、人としての「在り方」

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2026年、私は「自分で拭く人」になりたいと思う。

これは、単に床の汚れを拭くという話ではない。もっと広い意味での、生き方の話だ。

目の前に問題があるとき、「誰かがやるだろう」と思って避けるのか、「自分がやる」と思って動くのか。その選択の積み重ねが、その人をつくる。そして、その選択が集まって、社会をつくる。

高雄の地下鉄で、私は「避ける人」だった。だが、あの女性を見て、一瞬だけ「拭く人」になった。その一瞬が、私に何かを教えてくれた。

「これは自分の仕事じゃない」「誰かがやるだろう」。そんな声が、頭の中でささやく。でも、その声に従い続けていたら、ずっと「避ける人」のままだ。

80億分の1コマ
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彼女には、そもそもそんな声が存在しなかったのかもしれない。彼女にとって、目の前の汚れを拭くことは、呼吸をするのと同じくらい自然なことのように見えた。

私は、そこまで自然にはなれないかもしれない。でも、少なくとも「避ける」を最初の選択肢にしない人間にはなれる。

小さなことだ。道に落ちているゴミを拾う。困っている人に声をかける。誰かが落としたものを拾ってあげる。そんな小さな行動の一つひとつが、「拭く人」への一歩になる。

行動の連鎖が少しずつ世界を変えていく

行動は、言葉よりも雄弁だ。

私も、いつか誰かにとっての「あの女性」になれるだろうか。言葉で語るのではなく、ただ黙々と、目の前のことをやる。それを見た誰かが、少しだけ変わる。そんな連鎖が、少しずつ世界を変えていく。

「あなたは、目の前の汚れを拭く人だろうか。それとも、避ける人だろうか」

2026年、私はこの問いを胸に歩みたい。そして、いつか自然に「拭く人」になりたいと思う。高雄の地下鉄で出会った、あの女性のように。

ノンフィクションライター・泉秀一さんの連載80億分の1コマ、これまでの掲載記事もぜひお読みください。
泉 秀一 ノンフィクションライター

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いずみ・ひでかず / Hidekazu Izumi

2013年に関西大学社会学部卒業後、ダイヤモンド社入社。週刊ダイヤモンド編集部を経てNews Picksへ。副編集長、編集長を経て24年春に独立。著書に「世襲と経営 サントリー佐治信忠の信念」(文藝春秋)

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