「京都はオーバーツーリズム」という大いなる誤解 データが暴く"インバウンド悪玉論"の不都合な真実
また、インバウンドも含めた観光客数は、24年に5億7682万人と、現行のインバウンド戦略が始まる11年の6億1874万人を下回っています。たしかにインバウンドは増えましたが、その増加分は日本人の減少分を下回っており、観光客全体の増加にもつながっていません。この事実から、「インバウンドが増えて日本人は観光を控えている」という主張は論理性に欠けます。
そもそもオーバーツーリズムとは、対策を打っても、「インフラの収容能力を超える人数」であるかが問題視される定義です。マナーの良し悪しで定義されるものではないのです。そして、それが問題であるかどうかも、あくまで当事者である「住民」と「観光客」自身の評価が判断基準です。住民だけではなく、ましてや決して部外者が決めることではありません。
しかし、ネット上で騒いでいる人々の属性を観察すると、①京都の住民ではない②マナーの問題ばかりを指摘する③中国をはじめとする特定国や移民への拒絶反応が強い―などといった特徴が見られます。
こうした「非居住者」が、一部の混雑(例えば伏見稲荷の賑わいなど)だけを見て「京都はオーバーツーリズムだ」と主張するのは論理性に欠けます。東京の人が日常的に東京タワーへ行かないのと同様、京都住民も頻繁に清水寺へは行きません。局所的な混雑をもって都市全体を語るのは、あまりに拙速です。
たしかに特定のエリアでは、日本人観光客は圧倒的に多い中で、インバウンドも多少集中している傾向はありますが、それは管理対策がなされていない「オーバーコンセントレーション問題」であって、決してオーバーツーリズムではありません。京都も宿泊税の徴税、ネット予約や歩行者天国などを導入してオーバーコンセントレーション問題を解決すれば、その問題は解決できる範囲内にとどまっています。
ベネチアとの比較で見る「数値の真実」
よく比較対象に挙げられるベネチアと京都では、その規模が決定的に異なります。
ベネチアは島民約5万人に対し、24年のインバウンドは511万人と、住民の約100倍に達しています。 対する京都市の人口は143万人。インバウンドの1088万人は、市民の7.6倍しかありません。



















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