「なぜ年金は難しいのか?」その理由のベスト3とは/「年金トンデモ論」は人類の脳と大きく関係している

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年金はとかく難しい。それには私たちの認知バイアスが大きく関わっているようだ(写真:IROHARA/PIXTA)
「なぜ社会保障については、これほど誤解が多いのでしょうか」と問われることがよくある。
質問の仕方はさまざまで、「なぜ(誤った)通念がここまで支配的なのか」「デマがはびこっているのではないか」といった言い方をされることもあるが、突き詰めれば、いずれも同じ問題意識に基づく問いである。
この問いに正面から答えるのは、容易ではない。尋ねる人の関心や、そのときの文脈によって、返すべき答えも変わってくるからである。ただ、2025年11月にユース年金学会という場で、この問題に関わる話をする機会があったので、ここでその一端を紹介しておきたい。
ユース年金学会には、日本年金学会が共催団体の1つとして名を連ねており、私は代表幹事として開会の挨拶に出向いた。当日は、同じく共催団体である厚生労働省年金局の関係者も参加していたため、話の中で折に触れて彼らにも言及している。

 

第3位:人類は近視眼バイアスの持ち主!

これは、年金を理解してもらううえでの最大の障害です。

われわれ人間が時間軸の先を考えることが苦手なのは、30万年ほど前に誕生したホモサピエンス以前のアフリカのサバンナを走っていた百数十万年前からの脳のOSに原因があるようです。

昔は「いま逃げるかどうか」が生死に直結したので、「50年後にどうなるか」なんて、完全に想定外でした。人間が数十年先を考えなければならなくなってから、100年も経ってない。日本だと、もっと経っていない。

人間は遠い将来を合理的に考えられない

だから、時間軸の先を合理的に考える能力は遺伝子に組み込まれていません。これは、年金局も日々苦労をしているところだと思います。

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