「支持率下げてやる」発言に「オフレコ談話を報道」まで…メディアによる"高市下げ"加速も、変わらず高い支持率を維持する《納得の理由》

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今回の騒動では、前後の文脈がよく分からないまま「核保有」の部分(「議論することが抑止力になる」「実現は難しい」といった趣旨の発言もあった)だけが取り上げられ、高市内閣への批判一色となっている報道姿勢について、前出のネット上の投稿が典型だが、「マスコミが意図的に国際問題化させ、高市政権を追い込もうとしている」という陰謀論的な見方が急速に広まっている。

これまで事あるごとに燻っていたマスコミ不信がより熾烈化している状況だ。ポピュリズム的な構図の中でさらに悪化することは火を見るより明らかだろう。

そもそもオフレコ発言に関する見解のブレが不信の増大に一役買ってしまっている。テレビ朝日の「報道ステーション」では、「核保有」発言について中国外務省副報道局長が会見で、「事実であれば事態は極めて深刻だ」などと日本を非難したことを伝えた上で、キャスターの大越健介氏が「発言を公にしない、いわゆるオフレコを前提にした記者団の取材での発言ですけれども、非核三原則は日本の安全保障政策の根幹に関わる問題であって、我々としてはその内容を報道すべきだと判断しました」と述べた。

番組のX公式アカウントでも同様に「発言は、オフレコを前提にした非公式取材の場で出たものでしたが、(略)テレビ朝日では報じる判断をしています」などと投稿した。

新聞記者の中にはSNS上でオフレコの定義を示し、今回は完全なオフレコではなく、匿名で発言を引用することはできるオフレコであり、問題はないと解説する者もいた。

しかし、仮にそうであれば、わざわざルールを破ったと前置きして、「報道すべきだと判断」と説明するのはかなり違和感がある。定義通りの了解が双方でなされていれば何の問題もないからだ。

高支持率を可能にする「超ポピュリズム」戦略

筆者は最近、高市内閣の高支持率の理由について、「ポピュリズム政党の政策を取り入れながら、実践的な解決への道筋をつけると同時に、強い指導者のイメージ戦略で近視眼的な欲求を満たす」というスタンスが人々の心を掴んでいると述べ、「ポピュリズムによるポピュリズムの超克を試みる」という意味で「超ポピュリズム」と評した(高市人気の裏にある「超ポピュリズム」の"正体")

ここで用いている「ポピュリズム」という言葉は、政治学者のカス・ミュデとクリストバル・ロビラ・カルトワッセルが指摘したように、「社会が究極的に『汚れなき人民』対『腐敗したエリート』という敵対する2つの同質的な陣営に分かれる考え、政治とは人民の一般意志(ヴォロンテ・ジェネラール)の表現であるべきだと論じる、中心の薄弱なイデオロギー」のことである(『ポピュリズム デモクラシーの友と敵』永井大輔・髙山裕二訳、白水社)。侮蔑的なニュアンスはない。

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