50年ぶり復活「キングセイコー」が現代人に刺さったワケ 「グランドセイコー」と並ぶ2大ブランドへ、セイコーが仕掛けた再定義
キングセイコーで一番人気は「SDKV001」というモデルだ。
「1972年に発売された『VANAC』(バナック)のデザインをオマージュして今年7月11日に発売されたモデル(VANACシリーズ)で、デザインコンセプトは“東京の地平線”(TOKYO HORIZON)です。クラシカルなのにスポーティーさもあり、世代を問わずに支持されています」
この場合の東京は、キングセイコーの誕生地・亀戸を意識した。そうした歴史やデザイン、機能性もさることながら、大谷翔平選手のCM効果は大きかったようだ。
これ以外にKSKシリーズの中では「SDKA005」が人気だという。
「こちらは1965年発売のKSK(2代目キングセイコー)を復刻したシリーズで、2023年に薄型自動巻きムーブメントを搭載して発売されました。シルバーカラーはKSKのオリジナルが持つ滑らかで上品な質感を表現しています。快適に装着いただける多列ブレスレットを採用するなど伝統と現代性を融和させた商品です」
時計をはめて「スイッチを入れる」
「腕時計には、“自分の気持ちにスイッチを入れる”役割もあります。自宅から出かける時にはめて、帰宅したら外すなど、日常生活でのON/OFFを切り替えるように。平日の仕事時と休日の外出時で腕時計を使い分ける方も増えていると感じます」
「その時の気分でピンとくるものを選ぶ」のは、現代の消費者心理だ。例えば1人で外食する時も、和食や中華など食べたいメニューや予算に合わせて無意識のうちに店を探す。
マーケティングや商品開発では、選ばれるブランドを機能的価値と情緒的価値で分ける場合もあるが、もっと多面的だ。
体調管理ができるスマートウォッチは機能的価値だが、それを身に着けて出かける時の思いは情緒的価値だ。アナログ時計も機能的・情緒的価値がそれぞれある。


















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