50年ぶり復活「キングセイコー」が現代人に刺さったワケ 「グランドセイコー」と並ぶ2大ブランドへ、セイコーが仕掛けた再定義

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現在、アップル社の「アップルウォッチ」がスマートウォッチ市場では圧倒的人気だ。商品によって機能が異なるが、多くのスマートウォッチはヘルスケア(心拍数、血圧、睡眠など)に対応しており、健康状態や体調管理に使う人も多い。

平岡氏は、さらにこんな指摘をする。

「今、街中で見るとスマートウォッチの本体はそのままでバンド部分をアレンジしている人も目立ちます。腕を何かで着飾る、装飾品の文化が復活してきました」

キングセイコーは「手の届く高級品」

セイコーにはさまざまな腕時計ブランドがあるが、高級腕時計の代表は「グランドセイコー」と「キングセイコー」だ。両者はどう違うのか?

「ひとことで言えば『グランドセイコーは最高峰』で『キングセイコーは手の届く高級品』です。ともに昭和30年代に発売されましたが、当時は『部下ができたらキングセイコー』というキャッチコピーもありました」

セイコーは1924年に初めて「SEIKO」の名を冠した腕時計を発売。戦後の高度成長期になると当時の技術・技能を結集し、世界に通用する腕時計を目指して1960年にグランドセイコーを発売。そして翌1961年にキングセイコーを発売した。やがて両者は同社を代表する高級腕時計となった。

なお、当時は諏訪精工舎(長野県諏訪市)と第二精工舎(東京都江東区亀戸)の二大拠点で技術を競い合い、グランドセイコーは諏訪、キングセイコーは亀戸で製造されていた。 時計好きの中には「昔のキングセイコーは亀戸工場の矜持があった」と語る人もいる。

1970年代に販売終了となったキングセイコーを、なぜ約50年経った2022年に復活させたのか?

「2018年からブランド調査をしましたが、キングセイコーの認知度が想定より高く、当時を知らない時計好きの30代40代の方にもムーブメントの精度も支持されていました」

キングセイコー
大谷翔平選手をモデルに起用(撮影:梅谷秀司)
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