出国税「3000円」に引き上げは日本人に不公平? パスポート手数料の引き下げでも拭えぬ"実質増税"の懸念

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日本の温泉地では入湯税を徴収する自治体は多い。また近年、宿泊税を導入する自治体も増えている。いわゆる滞在課税だ(関連記事→熱海市長が目論む「入湯税と宿泊税」の二重取り)。

また入国に際しての課税手段としては、ビザ取得費用の徴収や、ビザなし渡航の場合の「電子渡航認証制度」導入による徴収もある。

日本のビザの手数料は1978年から据え置かれており、シングルビザ(1回限り入国)は約3000円だ。アメリカの観光・商用ビザ185ドル(約2万8000円)、欧州諸国の90ユーロ(約1万6000円)と比べてかなり安い。

政府が6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」では、主要国の水準等を考慮して、ビザや入国在留関係手数料の見直しを検討するとしている。

ビザなしで入国する外国人を事前審査する「電子渡航認証制度」の運用も検討されている。

日本の制度の名称は「JESTA(ジェスタ)」で、アメリカのESTA、韓国のK-ETA、カナダのeTAなどと同様に、テロ対策や不法滞在の防止、入国審査の効率化を目的とした「事前入国審査」の仕組みだ。アメリカ(約6000円)を参考に手数料を取る方針とされる。

外国人への負担増はリスクも伴う

ビザやJESTAによる税収確保策は日本人には影響しない。しかし、外国人向けの負担増を進めていけば、国境を越えた人の移動や交流の妨げになり、国際社会の分断を招くおそれもある。また、それでなくても排外主義的な社会風潮が広がる中、それを助長する可能性もある。

日本に来る外国人の安すぎる負担を見直すことは必要だが、国際交流の阻害は長い目で見て国益を損なう。また、このように日本人の負担が問題視されること自体、行き過ぎた円安など日本の国力の低迷であるという見解も気になる。

観光立国としての環境整備、オーバーツーリズム対策は重要だが、その財源確保策は間接的、長期的影響も考慮し、観光政策の推進が必要だ。

細川 幸一 日本女子大学名誉教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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