出国税「3000円」に引き上げは日本人に不公平? パスポート手数料の引き下げでも拭えぬ"実質増税"の懸念

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外国人専用の観光地はほとんどないであろうから、オーバーツーリズムによる問題の一因に日本人もかかわっていると言える。しかし、日本人が国外に出国する際に、国内のオーバーツーリズム対策費用を負担するというのは腑に落ちない。

また、外国人に税を課すなら常識的に考えて入国時が妥当ではないかと思うが、なぜ出国時なのかの疑問もわく。

空路で海外に出かける場合に、航空運賃のほかに空港使用料等が加算されて航空券の代金と一緒に支払うのが通常だ。出国税を設ければ、これに上乗せする形になり、徴収業務を航空会社に行わせることができる。徴収コストや手間がかからず、また徴収もれもない。しかし、入国時にこのような課税をするシステムは設定しづらい。

国際ルールで差別的扱いは禁止されている

では外国人だけ徴収することはできないのであろうか。これは国際ルール上できないとされている。差別的扱いとみなされうるからだ。シカゴ条約(国際民間航空条約)、IATA(国際航空運送協会)の運用ルールにより、国籍別課税はできず、また航空券システム上も非常に困難なのだ。

しかし、政治的には国民感情、不満は無視できない。そこで、日本人の負担を軽減し、海外旅行控えにつながらないよう、パスポートの取得・更新時の手数料を引き下げる検討を政府が進めていると報じられている。

日本経済新聞(12月19日朝刊)は「パスポート申請、7000円下げへ調整 出国税増、海外旅行控え防ぐ」の見出しで、政府がパスポートの申請手数料を最大7000円引き下げる調整に入ったと報じた。

パスポートには10年期限と5年期限があるが、18歳以上向けは5年用の発給を廃止して10年用に一本化したうえで、現行の申請手数料1万6300円、オンライン申請1万5900円の料金を7000円引き下げ、およそ9000円にするという。18歳未満は現在、5年用に限って発給され、年齢によって約6000~1万1000円かかっているが、一律4500円程度に見直すという。

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