アスクル「ランサムウエア攻撃」の深刻すぎる影響、営業停止が長引いたことでライバルの「モノタロウ」や「たのめーる」では"アスクル特需"も

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

注目される延期中の中間決算発表だが、物理的に考えても、年越しの可能性が高い。実際、アスクルの11月の月次売上高は前年同月比95.1%減と、ほぼ”蒸発”した。

一方、競合他社はアスクルの失墜をとらえ、この機を逃すまいと営業や宣伝の攻勢をかけているようだ。

ライバル社には”アスクル特需”も

「モノタロウ」を展開するMonotaROは、11月の月次売上高が前年同月比19.9%増だったが、このうち5%近くが”アスクル特需”だったという。

「たのめーる」の大塚商会も10月末の第3四半期決算発表時には、「新規登録が大幅に増えており、注文数急増で商品を届けるのに遅れが生じていた」状態。「カウネット」のコクヨも同じく第3四半期決算の説明会資料で、「アスクル社システム障害をうけ、カウネットに顧客流入が見られるものの、現時点の見通しには未反映」と謳っている。

アスクルでは6月にシステムに侵入され、ランサムウェアの時限装置が起動、攻撃される10月まで、4カ月以上も気づくことができなかった。これを受けて今後は24時間365日の監視体制、全リモートアクセスのMFA(多要素認証)必須化、外部専門機関による定期的なアセスメント(評価・分析)などを導入するという。

いずれにしても、アスクルが失った信頼を回復するまでの道のりはまだまだ遠い。

東京DCの稼働日には、吉岡晃社長がシステム障害後に初めて公の場所に現れた。当日の報道陣とのやり取りを再現した詳報記事【〈サイバー攻撃被害〉アスクル吉岡晃社長の悔恨/「顧客が他社から買うのは当然。逃げずに信頼回復を尽くすことが経営責任」】も併せてご覧ください。
大野 和幸 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。Xは大野和幸

 

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事