不登校「12年連続増加」の傍で増える"学校以外の学びの場"、フリースクール・オルタナティブスクール・学びの多様化学校って実際どうなの?

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区によってはさらに上乗せの助成があるところもあり、今後全国に広がっていくのか気になるところです。

スクール選びについては、東京都では、TOKYO多様な学びの場・居場所ナビというポータルサイトも開設していて、数は少ないですが東京都だけでなく近隣の県の情報も載っているので、不登校、不登校傾向にある子どもがいる家庭にとって次を考える羅針盤になるのではないでしょうか。これも全国に広がるといいですね。

東京都内の多様な学び場が集結するフェアの様子
会場になった東京コミュニティスクールのブース(写真:東京都フリースクール等ネットワーク)

オルタナティブスクールなどの区別なくなるか

今回フェアを取材して感じたのは、現実は想像を超えているということでした。

不登校児童生徒数は過去最多の35万3970人という数字にも驚きますが、そこには含まれない不登校傾向の子どもたちも入れると、どこにもいかず家の中で過ごす子どもたちがこの国には大勢いて、しかも低年齢化しており、親の経済活動の妨げにもなっていると言われています。そうした家庭の受け皿としての子どもの居場所、学びの場が必要とされているのも事実です。

全国には約400〜780カ所とも言われる数のフリースクールが存在すると言われていますが、今回のフェアに登場したスクールだけでも、カテゴリー分けが不可能なほど内容は多種多様でした。さらに今後ニーズに合わせてさまざまな形態が増えてくる可能性は大きいでしょう。

通信制高校の在籍数の増加とともに、大手の教育産業が次々とその市場に参入してきていますが、今後義務教育家庭のフリースクールにも、経営が厳しくなった塾などが参入してくる可能性も高いと思います。もちろん、子どもたちにとって、多様な学びの場を選べるのはいいことですが、乱立してきた時に、フリースクールやオルタナティブスクールの質をどう担保するのかという課題もあります。

とはいえ、社会がこれだけ大きく変わっている中で、既存の学校教育に限界があることは、教育に関わる多くの人が感じているのも事実でしょう。

一方で今回だけでも、自分の居場所を見つけて、生き生きし出した子どもの実例もたくさん聞きました。こうしたフリースクールやオルタナティブスクールの知見もたまりつつある今、今回のように、それぞれのスクールがつながって実践内容を学びあうのは大変意義がありますが、さらに言えば、一条校の教員も研修先にフリースクールやオルタナティブスクールを選択するなど、もっと交流をしてもいいのではないでしょうか。

この国の未来を担う子どもたちが、自分は自分でいいと思え、自立しその力を社会に還元する道を選んでいけるように、教育はどうあるべきなのでしょう。理想を言えば、学びの多様化学校とかオルタナティブスクールという区別がなくなる日が来てほしいと願います。

「良い社会を作るには、良い子ども時代が必要」。以前デンマークで聞いた言葉を思い出しながら、今の子どもたちを取り巻く状況は決して他人事ではない。大人にできることは何だろうと考えながら、会場を後にしました。

出展団体(申込順):東京コミュニティスクール(中野区、小学生)/とらすとベースフリースクール(中野区、小学生)/東京シューレ学園(江戸川区・葛飾区、小学生・中学生)/ヒロック初等部・中等部(世田谷区・渋谷区・三鷹市、小学生・中学生)/ワイズアカデミー(港区・品川区、中学生・高校生)/東京賢治シュタイナー学校(立川市、小学生・中学生・高校生)/子ども社会塾(千代田区・オンライン、小学3年生〜中学生・高校生)/GIFT SCHOOL(港区、小学生〜中学生)/東京インターハイスクール(渋谷区、中学生・高校生)/飛鳥未来中等部・初等部 立川教室(文京区・立川市、小学4年生〜中学生)/フリースクール滝野川高等学院(北区、小学生・中学生・高校生)/学び舎トーカ(世田谷区・品川区、小学生・中学生・高校生)/学研WILL学園(新宿区・立川市・オンライン、小学生・中学生・高校生)/DE-SCHOOL(新宿区、小学生3年生〜中学生)/Loohcs高等学院(渋谷区、中学生・高校生)/homiee フリースクール(中央区、小学生)/瑞穂MSC高等学校(荒川区・オンライン、高校生)/のびーくフリースクール (練馬区、小学生〜高校生)/東村山おしゃらフリースクール(東村山市、小学生・中学生)

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
中曽根 陽子 教育ジャーナリスト/マザークエスト代表

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なかそね ようこ / Yoko Nakasone

小学館を出産で退職後、女性のネットワークを生かした編集企画会社を発足。「お母さんと子どもたちの笑顔のために」をコンセプトに数多くの書籍をプロデュース。その後、数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして紙媒体からWebまで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。「子育ては人材育成のプロジェクト」であり、そのキーマンであるお母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。著書に『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)、『成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方』(青春出版社)などがある。

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