学校外で多様な学びの場を維持する意味
今回のフェアではブースのほかに、多様な学びに関するセミナーやトークセッションも行われていました。オープニングセッションでは、不登校支援も行うNPO法人カタリバ代表の今村久美氏のファシリテートで、参加団体のスタッフらが学びの場を作った思いや実情を語り合っていました。
学校によって創始者の思いや理想とする教育は違っているのは当然で、それだけにスクールの数だけ多様な学びの場があるわけですが、従来の学校教育を疑問なく受けてきた年代の人からすると、なぜここまで学びの多様性が必要になっているのかが気になるのではないでしょうか。
セッションでは、元公立小学校の教員でオルタナティブスクールを立ち上げたM氏が、「近年生徒の特性の幅が非常に広く、公立学校も多様性を取ろうとすればするほど結局どこにも刺さらなくなってしまっていて、どこを見て教育を行うかが非常に難しい」と発言されていて、授業取材を通して感じていたとおりだなと思いました。
ただ、一人ひとりに合わせた教育を行おうとすると、どうしても少人数制にするか人員を増やさざるをえず、公教育でそれを行うには無理があります。一方、エッジを立てた教育を行うフリースクールやオルタナティブスクールも、別の意味ですべての子どもに適応するわけではありません。
だからこそ、スクール同士が情報を共有しあってアップデートしたり、子どもに合う場所を紹介し合ったりするようなつながりができると、業界の健全性も高まっていくのではないかと感じました。
今回のフェアは、フリースクール等を「探したい」「関わりたい」「繋がりたい」方にという合言葉と共に開かれましたが、その狙いどおり各ブースでは熱心に話を聞く親子の姿が見られると同時に、スクール運営者同士が情報交換し合う姿もありました。
また、フリースクールやオルタナティブスクールの質の担保には、優秀な人材の確保も必須でしょうが、セッションでは、どこも人材不足を訴えていましたので、今回のフェアは、スクールと関わりたい人が、直接話ができる貴重な機会にもなっていたのではないでしょうか。



















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