不登校が過去最多、自治体「フリースクール利用者支援」東京都は月2万円助成 学校至上主義から脱皮し、学ぶ権利を保障

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小・中学校(義務教育段階)における不登校児童生徒数が全国で30万人近くにもなる中で、フリースクールに通う子どもたちの支援を表明する自治体が増えている。自治体がフリースクールを「学校以外の学校」として認知し始めたのかと思ってしまうが、そうではなさそうだ。自治体はフリースクールをどのように位置づけようとしているのか、来年度からのフリースクール支援を打ち出している東京都を取材した。

不登校児童生徒数29万9048人で過去最多

文部科学省が2023年10月4日に公表した「2023年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によれば、小・中学校における不登校児童生徒数は29万9048人に達している。前年度から5万4108人も増えて過去最多となり、増加は9年連続でもある。

これに伴って、不登校児童生徒を受け入れるフリースクールや、そこに通う子も増えているといわれる。こうした状況を自治体としても無視するわけにはいかなくなってきているようで、支援策を打ち出す自治体が現れている。

東京都も、その1つだ。今年1月に、来年度から「フリースクール等の利用者等支援事業(助成金)」を実施する予定を公表している。

東京都の不登校児童生徒数が3万4711人に急増

これは、小池百合子知事からの指示もあり、都としての取り組みがはじまったらしい。

2017年度には1万7650人だった東京都の不登校児童生徒数は、2019年度に2万1799人、2022年度になると3万4711人へと急増している。この事態を、都知事としても見過ごすわけにはいかなくなったと思われる。

そして子供政策連携室を中心に教育庁、私立学校を所管している生活文化スポーツ局、福祉局で推進チームをつくり、施策を練ってきている。東京都子供政策連携室企画調整部企画調整担当課長の青木裕之氏が説明する。

「まずは、フリースクール等の利用料負担軽減のために、利用者に対して月2万円(上限)の利用料助成を予定しています」

実は過去2年間、東京都教育庁としてフリースクール利用者に対して、月2万円の助成を実施してきている。ただし「助成金」という名目ではなく、「協力金」だ。利用実態について毎月、アンケートに答えるのを条件に、月2万円の協力金を3カ月分ずつ年4回が支払われてきた。

このアンケート調査協力金の支給を受けていたのは、年間約1400人だという。この実績をもとにして、来年度からの助成金の対象者は約1500人と東京都は見積もっている。

「アンケート調査協力金は公立の小中学校在籍者だけを対象にしていましたが、今回は義務教育段階の児童生徒を対象にするということで、私立と国立学校の在籍者も対象にするので100人増やしました。100人しか増えないのは、そもそも私立や国立だと不登校自体が少ない」(青木氏)からだという。

【2024年03月17日8時22分追記】東京都のフリースクール支援に関する検討の経緯について、一部誤りがあったため訂正しました。

フリースクール利用者1500人に月2万円の助成

それにしても、2022年度で3万人を超える不登校児童生徒がいるというのに、対象者数が1500人とは少なすぎるようにみえる。これでは不登校の全部を支援することにはならない。その疑問に、青木氏は次のように答える。

「不登校といっても、全員がフリースクール等に通っているわけではありません。家で勉強している子もいれば、勉強していない子もいます。フリースクールに通っている子は多くないわけで、アンケート調査協力金の利用実績から1500人くらいの見積もりが妥当だと考えています」

その助成対象となるための、通う「フリースクール等」には条件がついている。フリースクールにも、いろいろあるからだ。

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