不登校が過去最多、自治体「フリースクール利用者支援」東京都は月2万円助成 学校至上主義から脱皮し、学ぶ権利を保障

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一条校に戻すことを目的としないけれども、一条校とは違う方針の学びは認めない、ということになる。都も文科省も揺れている印象を受ける。

フリースクールそのものへの支援も検討している

東京都の「フリースクール等の利用者等支援事業(助成金)」は、不登校の子どもたちへの支援だけではない。フリースクールそのものへの支援も予定している。

「年間にすれば600万〜700万円くらいになると思いますが、人件費などの運営費の助成を予定しています」

一条校の場合、税金の免除や国および都道府県からの補助金が出ている。それがフリースクールなどには、いっさいない。利用者負担であり、その負担は軽くはないが、それでフリースクールの運営費が十分にまかなえるわけではない。簡単に言えば、経営は苦しい。助成があれば、大助かりである。

もちろん、無条件に助成してもらえるわけではない。利用者への助成と同様に、不登校支援を主たる目的にしていることは言うまでもない。

「今後考えているのが、子ども一人ひとりについての『サポートプラン』の作成義務です。その子がどのように成長し、心を回復させ、学びをつなげていくためのプランです」

そのサポートプランは、在籍校にも共有される。助成の対象として妥当か妥当でないかを学校が評価するためではない、という。

「在籍校との連携が重要だと、私たちは考えています。その連携のために、子どもたちの様子を見える化しておくことが必要です。そのためのサポートプランです」と、青木氏は説明する。

こうした東京都の「フリースクール等の利用者等支援事業(助成金)」は検討中で、今年6月ごろには詳細が明らかにされることになっており、それから運用が始まる。またフリースクールそのものへの支援については、約50カ所を予定しているという。

一条校ではないフリースクールなどに通う子どもと保護者は、これまで助成がいっさいなかったために、大きな負担を強いられていた。経済的な理由でフリースクールに通えなかった子もいたはずである。そこに、自治体が助成を検討しはじめたことで、望みがでてきたといえる。

しかし、意図的不登校だと支援を受けられる可能性はない。意図的不登校は認められないわけだ。普通教育は一条校のみで行うという教育基本法や学校教育法の縛りがあるからで、学校(一条校)至上主義の影響といってもいい。

法律がある以上、法を重んじなければならない行政としては致し方ないのかもしれない。しかし、増え続ける不登校児童生徒の中には、一条校以外の新たな学びの場を求める子がいることもたしかだ。そこへの支援を拒否することは、学ぶ権利を侵していることにならないだろうか。

学校至上主義が不登校問題の解決を遅らせ、学ぶ権利の侵害にもなっている可能性がある。東京都でも約2万7000人、全国でも約30万人の不登校児童生徒の学ぶ権利を保障するためにも、学校至上主義からの脱皮が必要になっているのかもしれない。

【2024年03月25日12時00分追記】東京都の「フリースクール等の利用者等支援事業(助成金)」の内容について、誤解を招く可能性のある表現を一部修正しました。

(注記のない写真:C-geo / PIXTA)

前屋 毅 フリージャーナリスト

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まえや つよし / Tsuyoshi Maeya

1954年、鹿児島県生まれ。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。著書に『学校が合わない子どもたち』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』(朝日新聞社)、『ほんとうの教育をとりもどす 生きる力をはぐくむ授業への挑戦』(共栄書房)、『ブラック化する学校 少子化なのに、なぜ先生は忙しくなったのか?』(青春出版社)、『教師をやめる 14人の語りから見える学校のリアル』(学事出版)など。

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