不登校が過去最多、自治体「フリースクール利用者支援」東京都は月2万円助成 学校至上主義から脱皮し、学ぶ権利を保障

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「学校教育法上の学校以外の学びの場で、かつ不登校支援を主たる目的にしているフリースクール等に通う児童生徒を対象とします」と、青木氏は言う。

学校教育法第1条に掲げられている教育施設だけを国は「学校」と認めている。そのため「一条校」とも呼ばれ、法律で定められた条件を満たし、国の認可をうけることが必要となる。青木氏の言う「学校教育法上の学校以外の学びの場」とは、一条校以外のことで、つまり国が認めていない学びの場ということになる。

さらに、一条校以外であっても、「不登校支援を主たる目的」にしていなければならない。一条校以外の学びの場で、しかも不登校支援を目的としていない学びの場に通う子は東京都も支援しない、というわけだ。

「保護者には就学義務があります。それを保護者が果たそうにも、子どもが『学校生活になじめなくて生きづらさを抱えている』ために学校にいっていないのが不登校です。そこは支援する必要があると考えています」と、青木氏。

日本国憲法第26条第2項で、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」と規定されている。それを法律化したのが学校教育法第16条および17条で、保護者はわが子に一条校で普通教育を受けさせる義務を負うことが定められている。これが「就学義務」で、違反すると「10万円以下の罰金に処する」となっている。

「積極的不登校」は支援対象外

就学義務に違反するつもりはないが、仕方なく就学義務違反になっているケースなら都は支援する。しかし意図的に就学義務違反をしているケースについては支援しない、というわけだ。

意図的な就学違反があるのか、という疑問があるかもしれない。わかりやすいのは、インターナショナルスクールだ。もともとは日本で暮らす外国人子弟のための学校で、不登校支援を目的にしていない学びの場がインターナショナルスクールである。一条校でもない。そこに、不登校だからという理由ではなく、一条校が物足りないためにわが子を通わせる日本人保護者も少なくない。

意図的に就学義務に違反しているわけだ。そうした法律違反を、都として支援するわけにはいかない。インターナショナルスクールと同じように、不登校支援を主たる目的としていないフリースクール等もある。一条校とは違う教育方針を実施しているフリースクールで、オルタナティブスクール(新しい選択肢の学校)を名のっているところも多い。

「そういう施設に通っているケースは、『積極的不登校』といわれています。学校生活になじめずに生きづらさを抱えているのとは違います。今回の施策は、学校生活になじめずに生きづらさを抱えている子どものためのものですので、それ以外は対象になりません」と、青木氏。

生きづらさを抱えての不登校なのか積極的不登校なのか、その見極めについて、青木氏は次のように説明した。

「在籍校との連携で、学校長に不登校状態にあるのかどうかを確認してもらう必要があると考えています。詳細については、今後、詰めていきます」

意図的就学義務違反でも、一条校に籍はある。それが、在籍校だ。その在籍校の学校長が、「在籍校とは違う教育を求めて、それを実施しているフリースクールに通っている」と判断されれば、今回の都の助成は受けられないことになる。

そこで気になるのが、不登校支援を「学校に戻すための支援」として都は考えているのか、ということである。それに、青木氏が答える。

「都としては、『学校に戻す』ことを前提にしていません。不登校支援を掲げているフリースクールでも、学校に戻すことを目的にしているところもあれば、必ずしも目的にしていないところもあります。もちろん、フリースクールに通っていても途中から学校に戻る選択をする子もいますから、それも否定しません。教育機会確保法の理念に基づき、取り組んでいきます」

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