「子どもを義務から解放」お寺のフリースクールに見る"学びの多様化"最前線 不登校34万人超えの今考えたい「居場所づくり」

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11年連続で増加し続ける不登校児童生徒。その数は、過去最多の34万6482人となった。文部科学省はフリースクールを不登校児童生徒の学びの場として位置付け、近年は校内フリースクールが設置されるなど、少しずつではあるが選択肢が広がりつつある。こうした中、幼稚園を併設する名古屋市のお寺がフリースクール「てらこやさん」を開設。なぜお寺にフリースクールをつくったのか、そこで子どもたちはどう過ごし、どう変化していくのか。浄土院副住職で守山幼稚園園長の児玉匡信氏と、小学校教員を12年勤めた後にてらこやさんに参画した渡部和華羽氏に話を聞いた。

※文部科学省 令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要 令和6年10月31日

「安心して過ごせること」を何より大切に

愛知県名古屋市守山区のお寺には、毎日のように子どもたちが集まってくる。守山幼稚園を併設する寺院・浄土院の書院を拠点とする、フリースクール「てらこやさん」だ。ここでは教員免許を持つ3名と看護師1名の計4名のスタッフがローテーションで子どもたちを見守る。在籍するのは小学生、中学生、高校生あわせて10名だ。

なぜお寺でフリースクールを始めたのか。その理由を、浄土院副住職で守山幼稚園園長の児玉匡信氏はこう話す。

児玉匡信(こだま・きょうしん)
学校法人児玉学園 守山幼稚園の5代目園長、浄土院副住職。大学卒業後、守山幼稚園で勤務を開始し、2013年に園長に就任。コロナ禍を機に、子ども、教職員、保護者の主体性を尊重する保育方針に転換。2017年4月に幼稚園の施設内に小規模保育所「守山幼稚園保育室」を開設。2023年12月には幼稚園を軸とした併設型フリースクール「てらこやさん」を開校し、2024年7月には児童発達支援事業所「あったか」を開設
(写真:本人提供)

「コロナ禍にお寺でマルシェを開催したことで、地域の方とよりコミュニケーションを取れるようになり、『お寺が地域の一助になれば』という思いが強くなりました。

今、日本全国に不登校の子が34万人以上います。その中にはうちの幼稚園を卒園した子もいるかもしれません。法事や葬儀がない時は、お寺は空いているので、その子たちのために何かできないかと思ったのです」(児玉氏)

児玉氏はそう思うようになった2023年9月頃から立て続けに賛同者と出会い、12月末にはフリースクールを開校。12月初頭に境内でマルシェを開催した際、フリースクールの1日体験会を実施できたことも、スムーズな開設につながったという。

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