学外の視聴者も増加、とある私大職員が「奨学金YouTuber」を兼務する訳 札幌大・水戸康徳が語る「学生が陥る落とし穴」

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
日本学生支援機構(以下、JASSO)の「令和2年度 学生生活調査」によれば、2020年度の奨学金受給状況は大学昼間部で49.6%。学生の約半数が奨学金を利用する時代となった。そんな中、奨学金関連の情報を積極的に発信している異色のYouTuberがいる。札幌大学学務部学生課の水戸康徳氏だ。私大の職員が、なぜ奨学金をテーマに動画配信を行うのか。水戸氏に話を聞くと、学生が陥りやすい奨学金の落とし穴や、奨学金担当者たちの壮絶な苦労が見えてきた。

私大の職員が、なぜ「奨学金YouTuber」に?

2020年3月に開設された、札幌大学学生課職員によるYouTubeチャンネル「サツダイ奨学金担当」。主にJASSOの給付型奨学金(以下、給付型)と貸与型奨学金(以下、貸与型)に関する情報を、制度を利用する学内の学生に向けて発信している。

開設以来、視聴回数や登録者数は伸びており、所属学生に限らず、他大学の学生や高校生とその家族、同業の奨学金担当職員などからも視聴されているという。11月15日現在、投稿されている動画は約120本、登録者数は2510人に上る。

学外の視聴者も多いYouTubeチャンネル「サツダイ奨学金担当」

チャンネルをのぞけば、学外のファンがいるのもうなずける。複雑な奨学金制度を親しみやすい言葉と軽快なテンポで解説していて、とてもわかりやすいのだ。手続きの方法だけでなく、「ゼロからわかる奨学金」や「奨学金を借りるあなたが絶対やってはいけない7つのこと」など、基礎から学べる親切な動画も多い。

そんな動画配信を一手に担っているのが、同大学務部学生課の水戸康徳氏だ。

水戸康徳(みと・やすのり)
札幌大学学務部学生課職員、YouTuber
2014年から学生の奨学金関連の手続きやサポートを担当。20年にYouTubeチャンネル「サツダイ奨学金担当」を開設し、札幌大学の学生を対象に奨学金関連の情報を発信している

14年の入職以来、奨学金業務を主に担当しており、これまで何らかの形でサポートをした学生の数は約2000人。関係者が「水戸さんは一部の大学職員の間で“神”と呼ばれている」と語るように、奨学金制度に詳しいことで知られる。

しかし、なぜ大学職員が積極的に動画配信を行うのか。きっかけは、20年度にスタートした「高等教育の修学支援新制度」だ。この制度の導入に当たり学生に提供すべき情報が激増、対面での「奨学金説明会」では伝えきれないため、動画で補足することになった。そこで、説明会を担当していた水戸氏に白羽の矢が立ったのだ。

しかも準備を始めた途端にコロナ禍となり、説明会は急きょすべて動画配信で行うことに。そんな流れで水戸氏は大学職員兼「奨学金YouTuber」となったわけだが、動画は学生たちにわかりやすいと好評で、YouTube配信は大学が学生を支援するうえでの大切な情報提供手段の1つになった。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事