Z世代に「夢や理想」は響かない サイバーエージェント藤田晋が目にしてきた"下から炙る火"の底力

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そうし続けないと、会社の成長が止まってしまうという「危機感」もある。逆に言えば、大きな夢を掲げて、とか、実現したい未来が、というような、上に理想を掲げるのは動機としては全く信じていない。そういうのは長続きしないし、本当の苦しさ、辛さを乗り越えられるものではないと思っている。

起業した最初の頃は、我々はそれこそ狂ったように働いていた。平日は朝9時から深夜2時までを毎日、土日は12時間、週に110時間働いていて、文字通り、寝る時間以外は全て仕事をしていた。ちなみに日高はずっと会社に泊まりっぱなしでソファで寝ていた。

当時の自分たちを突き動かしていたのは、絶対成功してやるという気持ちはもちろん、それよりも強かったのは、「投資した人や採用した人を裏切れない」「周囲に予想された通りに失敗するわけにはいかない」という切迫感だった。日高には「もうあの頃に戻りたくない」という気持ちもあっただろう。

「悲劇感を揺さぶれ」

私が社長を務めるFC町田ゼルビアの黒田剛監督がよく使う言葉に、「悲劇感を揺さぶれ」というのがある。黒田監督は青森山田高校でもゼルビアでもその手腕を発揮し、若いサッカー選手たちを見事にマネジメントしている。

彼らがZ世代だとすると、Z世代の若者は、「優勝したら100万円もらえる」と言われても、毎日の練習が苦しくて辛いとそれを乗り越えるほどは頑張れない。しかし、「優勝を逃したらみんなで100万円払わなきゃいけない」となった途端に必死になるという。

次ページ「悲劇感」を揺さぶり続けて25年以上
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事