Z世代に「夢や理想」は響かない サイバーエージェント藤田晋が目にしてきた"下から炙る火"の底力

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社内で注目を集めるような活躍をしていた私に対し、同期の日高の成績はビリに近かった。能力があるのに勿体無いというのもあり、心機一転、起業に参加しないかと誘ってみたのだった。

そこから日高はどう変わっていったのか。直接の上役である私からすると、ずっと下から火で炙っていた感覚だった。それも強火にしたり、弱火にしてみたり、様子を見ながら加減を調整していた。

彼が漫画やゲームが好きでサボり癖があるのは知っていたので、仕事に余裕があるとすぐ手を抜きそうだなと思っていた。そういう時は強火にして追い込む。一方で、やり過ぎると糸が切れそうなところもあるので、そういう時は弱火にしておく。そんな風に強火と弱火を繰り返すようなマネジメントをしてきた感覚が、私の中にはある。

「下から火で炙られているような感じで」

かくいう私も、実は、ゲームと漫画と小説と映画とスポーツ観戦etc.が好きで、放っておくと堕落してしまう傾向がある。外からは、私がずっと真面目に仕事に取り組んでいるように見えるのか、昔から「どのように高いモチベーションを保っているのですか?」と聞いてくる人がいるけど、その答えは「下から火で炙られているような感じで」だ。

取材でデカいことを言ったのが記事になって後戻りできないとか、もう多額の投資をしてしまっているとか。巻き込んだ人に絶対に迷惑はかけられないという「責任感」に突き動かされ、サボれない状況、負けられない状況を自分で作る。そして自らが追い込まれるというのがいつものパターンだ。

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