「警察呼ぶフリ」でしつけした保育士が懲戒処分…「おまわりさんに来てもらうよ」「牢屋に入るよ」はアウト? "虐待"との境界線はどこか

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そのため、このレベルでの「警察に電話するふり」は「心理的虐待」には該当しないだろうと思います。

ただし、親が「警察に電話するふり」をして子どもが反省の様子を見せたり、子どもが本気で畏怖したりする状況にあるにもかかわらず、さらに「警察に電話するふり」をすることは、子どもの恐怖、怯えを固定化して子どもに「心理的外傷を与える」おそれがあったり、場合によっては子どもを「言葉で脅す」ことになりかねません。

この場合には、子どもに対する「心理的虐待」がおこなわれたといえます。

昔から使われがちな手法だとは思われますが、どうしても「警察に電話をする」ふりをしなければならないことがあるのであれば、お子さんの様子を見ながら使ってほしいと思います。

保育士などであれば「不適切保育」になる可能性も

──保護者でなく保育士だった場合はどうでしょうか。

子どもに対する「心理的虐待」とは異なりますが、子どもの保育に関する専門的知見を有する保育士の場合、「警察に電話をするふり」は不適切保育とされる可能性がありうるようです。

子ども家庭庁などが監修した「保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン」(2023年)では、「心理的虐待」の例として

・ことばや態度による脅かし、脅迫を行う

を挙げ、さらに「不適切な保育」の例として

・物事を強要するような関わり

・脅迫的な言葉がけ

を明記しています。

一般に、目の前で「警察に電話」されることは、言われたほうが何らかの処罰を下される可能性、すなわち何かを「強要」される可能性を感じ取るものです。

そのため、保育士が子どもの目の前で「警察に電話をする」ふりをすることは、子どもが警察との関わりを持たなければいけないと捉える可能性、つまり「物事を強要するような関わり」をしなければならないと捉える可能性があります。

この点から、不適切保育と判断される可能性は十分にあると思います。

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