中高生の「制服代」が中1は約8000円、高1は約1万円上昇…授業料無償でも重い「教育費の家計負担」とどう向き合えばいい?

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――義務教育は無償のはずですが、家庭が高額な制服を私費負担することに問題はないのでしょうか。

中学校と高校は位置付けが違うので一律に論じることはできませんが、義務教育である中学校でも、校長の裁量で標準服を採用することは判例としても行政解釈としても認められています。

ただ、標準服を着てこなかった場合に罰則を科すとか、「高すぎる」という声を無視して「校則なので買ってください」と強制するまでの裁量は校長にはありません。本来は学校には“おすすめファッション”を指定する権限しかないのです。そのため、必須であるかのように家庭が高額な制服を私費負担している実態は、問題だといえます。

しかし、義務教育の無償に該当するかというと難しいところです。「制服は教育の活動の一環と言えるのか」「制服に教育的意義があるのか」と考えると、制服を着なければいけない活動が学習指導要領に書かれているわけではなく、教育活動に不可欠なものとまでは言えません。授業料や教科書の無償化とはまた違う話だと思います。

「制服無償化」は教育政策と言えるのか?

──足元では、制服を無償化する自治体もできており、東京都でも品川区が来年度から実施予定です。

今お話ししたように、制服は教育活動の中核とは離れているので、私は無償化に反対の立場です。確かに家庭の負担は減りますが、教育政策としてやるべきものではないと考えています。教育政策として制服無償化を実施すると、生徒にとって制服は「着なければならないもの」になってしまいます。どんなに心身に合わなくても、国や自治体が用意してくれたのだから「着て当たり前」となり、学校の制服指導にも抗えなくなってしまいます。

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