「中国は完全無人タクシーが当たり前」深センでは961台が走り、日本は延々と実証段階──技術・規制・資本の差が生むギャップとは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

資金調達も順調だ。2018年にユニコーン入りを果たし、2020年にはトヨタから4億ドルの出資を受けた。2024年11月には米ナスダック市場に上場し、時価総額は約45億ドル(約7000億円)に達した。自動運転分野では当時最大規模のIPOだった。

後部座席から見た車内
後部座席から見た車内。運転席とはアクリル板で隔てられている(筆者撮影)

同社の技術進化は目覚ましい。第5世代ではトヨタ・シエナ、第6世代では北京汽車の極狐(Arcfox)、第7世代では広汽集団のAION(埃安)を採用してきた。屋根を透明から通常の車に近づけるなど、コスト削減のため元の車種をできるだけいじらない設計に転換した。

最新の第7世代車両
最新の第7世代車両。広汽集団のAIONをベースにしている(筆者撮影)

トヨタとの提携も深まっている。2023年には広州市で合弁会社を設立し、自動運転専用車両の量産準備に着手した。韓国のソウル、UAEのドバイ、ルクセンブルクなどでもテスト走行を実施しているが、日本での展開計画はまだない。

日本勢は実証段階、商用化に壁

一方、日本の自動運転はどうか。

長野県塩尻市では、ティアフォーが2024年10月31日に「運転者を必要としない自動運転車(レベル4)」としての車両認可を取得し、2025年1月9日付で道路交通法に基づく「特定自動運行(レベル4)」の許可も得た。だが、運行はルートや条件を絞り込んだ形での段階的な実装であり、都市全域に広がる無人タクシーの常態とは距離がある。

名古屋ではNTTドコモが米May Mobilityと組み、中心部での定期運行を続けている。2024年11月に始まった運行は2025年3月まで実施され、さらに2025年10月14日から2026年3月19日までの運行も公表された。もっとも、運行形態はレベル2で、無料の実証にとどまる点は変わらない。

次ページ中国の自動運転の完成度の高さを実感
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事