「中国は完全無人タクシーが当たり前」深センでは961台が走り、日本は延々と実証段階──技術・規制・資本の差が生むギャップとは

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配車アプリと無人タクシー
配車アプリで目的地を入力するだけ。UberやDiDiと変わらない操作感だ(筆者撮影)

35km/h制限の道路では上限速度を厳守し、交差点では確実に減速する。他車に追い抜かれても動じず、淡々と法定速度を守り続けた。60km/h道路では制限速度の上限に張り付いて走行する。車線変更は滑らかで、人間のドライバーのようなバラツキがない。

夜の深圳を走行中
夜の深圳を走行中。運転席には誰もいない(筆者撮影)

翌日、再び乗車した。今度は80km/h道路も走る少し長めのルートだ。直線道路に入ると、同乗者が声を上げた。「まっすぐなところでめちゃくちゃ安定してますね。全然ブレがない」。確かにその通りだ。80km/h道路でも制限速度の上限に張り付いて安定した走行を見せた。車線変更も的確だ。

ただし一度歩行者が飛び出した時は急ブレーキをかけて驚いた。割り込み車両には積極的に譲る傾向があり、2台同時に割り込まれる場面も。安全優先の設計だが、到着時間は通常のタクシーなら30分の区間を40分かけた計算だ。

車内のタブレットに表示される3D画面
車内のタブレットに表示される3D画面。周囲の車両を認識し、信号機の色も把握している(筆者撮影)

「ここまで技術が完成されていて、日本ではなぜダメなのかわからない。法律なんですかね?」。同乗者の問いかけに、明確な答えは返せなかった。

70%のコスト削減を実現

Pony.aiのオフィスを訪問した際、担当者から聞いた技術説明は衝撃的だった。第7世代システムは、前世代と比較してセンサーやカメラを含む総コストを70%削減したという。つまり前世代の30%のコストで、同等の性能を実現した。

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