小野田紀美大臣も利用を公言 "痛くない・脱がない・触られない"従来の常識を覆す「無痛MRI乳がん検診」、受けてわかったその革新性

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MRIで撮影した胸部の横断面。高精度で病変が見つかりやすい(編集部撮影)
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撮影した画像は3次元でも見ることができ、全方向から乳房の中を観察できる(筆者撮影)

高原医師は自信を見せるが、その精度の高さは実際の数値にも表れている。J-STARTという論文によると、マンモグラフィのがん発見率は0.32%で、マンモグラフィに超音波を加えると0.50%。また、一般的に、100人陽性者がいる中で本当にがんである確率を示す「陽性反応的中率」は、マンモグラフィや超音波は3〜4%程度である。

直接比較はできないが、無痛MRI乳がん検診の1645例をもとにした調査によると、がん発見率は1.52%、陽性反応的中率は28.7%と、非常に高い値を示しているのだ。

また、乳がんは若年でも罹患することが多いのが特徴のひとつ。

「そのため、できれば30歳から検診を受けたほうがいいですが、若いうちからマンモグラフィを定期的に受けると、被ばくが心配という声もあります。その点、無痛MRI乳がん検診は被ばくゼロなので、安心して受けられます」

父親が末期の「大腸がん」で亡くなったことが転機に

“女性の味方”と言える無痛MRI乳がん検診は、そもそもどうやって生まれたのだろうか。

高原医師は放射線専門医として、MRIの診断だけでなく撮影も行い、さらに撮影法の研究開発に従事してきたという珍しい経歴を持つ。

きっかけは高原医師が脳梗塞の超早期診断ができる「拡散強調画像」という技術を改良し、2004年に全身のがんを映せる「ドゥイブス法」を考案したことだった。PET検査と比較して被ばくがないという点で注目を集め、全国紙の一面に掲載されるニュースになった。

この技術はがんの存在や転移を調べる保険診療として役立てられたが、全身のがんスクリーニング(人間ドック)に使うことは「お金儲けの手段のような気がして」考えていなかったという。

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