やってはダメ!腎臓・膀胱の健康を損なう「冬のNG行動」とは――"腸の環境を整えて排尿問題を改善させる"食事と生活の工夫【医師が解説】

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さらに悪化すれば、細菌が血液中に入り込んで全身に広がる「敗血症」という命に関わる状態に陥る危険性もあります。

腎臓は、一度機能が低下すると回復が難しい臓器です。だからこそ、日々の小さな習慣で膀胱を守ることが、結果的に腎臓の健康、ひいては全身の健康を支えることになるのです。

膀胱炎の原因の8割は腸内細菌

排尿時の痛み、下腹部の不快感、頻繁にトイレに行きたくなる、残尿感がある……。これらは膀胱炎の典型的な症状です。膀胱炎の経験者のなかには、「清潔にしていなかったせい?」と気にされる方が少なからずいらっしゃいます。

しかし、膀胱炎の主な原因は外から侵入するバイ菌ではなく、自身の腸に住んでいる細菌であり、約80%は大腸菌です。不潔だから起こる病気ではないので、入浴時やトイレの後に過度に洗う必要はありません。

一方で気を付けたいのは、腸内環境の乱れです。悪玉菌が増えると尿道を通じて膀胱に侵入してしまいます。近年の研究では、膀胱内にも独自の「膀胱マイクロバイオーム」と呼ばれる細菌の集まりが存在することが明らかになりました。

腸内環境が良好だと悪玉菌の増殖が抑えられ、免疫力も高まります。

腸は「第二の脳」とも呼ばれ、全身の免疫細胞の約70%が集中しています。膀胱炎の8割が大腸菌であることを考えれば、腸内環境を整えることが欠かせません。そのためには、発酵食品と食物繊維を日常的に取り入れることが重要です。

ヨーグルトは乳酸菌を、味噌や納豆は納豆菌や麹菌を含み、腸内の善玉菌を増やします。野菜、果物、海藻、きのこなどの食物繊維は善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えます。

外食が多い方なら、ランチに小鉢を一品追加する、定食で野菜の多いものを選ぶ、コンビニでヨーグルトを選ぶといった小さな工夫から始めるといいでしょう。

■クランベリー製品で再発予防

なお、膀胱炎になりやすい方はクランベリー製品も選択肢の1つです。

クランベリーに含まれるプロアントシアニジンという成分が、大腸菌が膀胱壁に付着するのを防ぐ働きがあります。2023年に発表された大規模研究では、クランベリー製品の摂取により膀胱炎の再発リスクが約26%減少することが確認されました。

砂糖不使用のジュースやサプリメントを選び、ほかの生活習慣と組み合わせるとよいでしょう。

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