「女子は理系が苦手」はアンコシャスバイアス?批判も多い理系大学「女子枠」拡大の裏で起きている深刻な課題

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前述の湘南白百合学園でも、実験をして検証することがとてもおもしろくて、「もっと実験をやりたい」と、理工系学部を選択する生徒が多いそうです。やはり、「女子は理系科目が苦手」というのは思い込みで、誰でもおもしろいと思える機会に出会えるかどうかなのですね。

躊躇せずに女子枠を活用しよう

とはいえ、まだまだ日本では理系の進学者は少ないのが現状です。加藤氏は長年の経験から、近年保護者の意向が生徒の進路選択に影響を与える度合いが高くなっていると感じているそうです。

そこで、保護者や教員に対してもセミナーを行い、理工系分野への進路選択について理解を促進させる活動を行っているのです。

さらに、進路を理系に決めた学生には、リケジョの先輩との座談会や、進学後のキャリアについてのシンポジウムやセミナーを開催して、より広くより深く理系の世界に入っていけるように後押ししています。

理系大学の女子枠については、東京科学大学(旧東京工業大学)が、「女性の比率が上がったことで雰囲気が変わった」と高評価する一方で、世間では逆差別だと批判する声もあります。しかし、女性が不利な状況に置かれてきた歴史もあるわけで、加藤氏はこう言います。

「女子枠で入ったことを意識する必要はありません。われわれは、これからも初等中等教育において女子生徒が理工系分野に興味や関心を抱く機会を設定するとともに、女子生徒に対して、理工系で学んだ後のキャリアパスを考える機会も提供します。

こうした取り組みが理工系女性の活躍の促進につながり未来を支えることを期待しています。25年11月23日に“中高生のためのエンジニアリングセミナー”が開催されます。近年、ますます活躍の広がりを見せている科学技術のスペシャリスト、技術士の仕事について知る機会なので活用してほしい」

私も、過渡期の今だからこそ、理系女子枠の機会を堂々と活用して、好きな道に進む女性が増えることを期待したいと思います。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
中曽根 陽子 教育ジャーナリスト/マザークエスト代表

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なかそね ようこ / Yoko Nakasone

小学館を出産で退職後、女性のネットワークを生かした編集企画会社を発足。「お母さんと子どもたちの笑顔のために」をコンセプトに数多くの書籍をプロデュース。その後、数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして紙媒体からWebまで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。「子育ては人材育成のプロジェクト」であり、そのキーマンであるお母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。著書に『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)、『成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方』(青春出版社)などがある。

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