「女子は理系が苦手」はアンコシャスバイアス?批判も多い理系大学「女子枠」拡大の裏で起きている深刻な課題

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そこで、同研究所では、対象学年やニーズに合わせてシーズ発掘・育成・強化プログラムのイベントを年間35回くらい行って理系進学の後押しをしています。

シーズ発掘プログラムは、理系にあまり関心のない生徒や文理選択で迷っている中学生に理系に興味を持ってもらうためのもので、気軽に参加できる観察会やクイズを交えたセミナーを実施。できるだけ身近な話題から、科学への興味を促す仕掛けになっています。

こうした取り組みの結果、プログラム参加者へのアンケートでは、理系進学への関心の高まりが91.7%という結果が出ており、ここからも、実際に経験をしてみれば興味が湧き、理系選択の可能性が広がるということがわかります。女性は理系が苦手なのではなく、触れる機会が少ないからに過ぎないのかもしれません。

お茶の水女子大学理系女性育成啓発研究所によるセミナーの様子
お茶の水女子大学理系女性育成啓発研究所によるセミナーの様子。情報理工学入門のほか食べ物など身近なものをテーマにした内容も(写真:お茶の水女子大学理系女性育成啓発研究所提供)

算数苦手な小学生「理科の面白さに目覚めて」理系進学

実際、筆者が取材した女子校でも、小学生の時には算数が苦手で、中学受験では国語1科目で入学した生徒が、中学から理系に興味を持ち、医学部進学を決めたケースがあると聞きました。

話を聞いたのは、湘南白百合学園中学・高等学校(神奈川県)です。湘南白百合学園は、理系進学者が4割から5割と女子校の中では高い方ですが、小学生の時には算数や理科は苦手だったけれど、入学後理系科目が好きになったという生徒が多いそうです。興味を持つきっかけとなっているのが、中学3年生で行う理系の探究プログラムです。

同校では、理系的な論文の書き方を学ぶために、中学3年生は全員が1年間かけて環境問題についてレポートを書きますが、テーマを設定したら必ず1人1回は実験をし、その実験のデータを使って仮説検証をした上で、論文形式でまとめることが求められます。

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