確定拠出型年金は60歳で積み立てが停止になり、75歳までに受け取りの手続きをしなければならない。筆者の場合は2020年にお知らせが到着した後、そのまま5年間放置していた。この間に株価が上がってくれたので、TOPIX(東証株価指数)連動型の投資信託がかなり増えている。2020年時点で精算していたら、「ああ、もったいなかった」となっていただろう。
「一時金で受け取る」と決めた「3つの理由」とは?
いろいろ考えた末に、一時金で受け取ることにした。理由は3点ある。
ひとつは税金対策である。当初は年金型にして向こう10年間、定額で受け取るつもりであったが、その場合は向こう10年間の所得が上がることになり、税金が高くなる可能性がある。いや、もちろん将来の収入はまったく未知数なんですけどね。とりあえず一時金で受け取るほうが、退職所得控除が使える分だけ、税金がお得になりそうだ。
この辺は人によって事情が違うところで、税理士さんにシミュレーションしてもらったところ、筆者の場合は「一部を一時金、残りを年金」で受け取るのがもっとも税金が少なくなるとの試算であった。
理由その2は株価である。足元の「日経平均株価5万円超」という株価は、この持ちまわり連載を担当している慶応義塾大学の小幡績先生ほどではないけれども、筆者も「ちょっと高いよな」と思っている。この辺で精算して、株式運用益を確定しておくほうがいいのではないか。もちろんこの後も株高は続くかもしれず、その場合は「もったいなかったね」となるけれども、ここは「腹八分目」で良しと考えた。
理由その3は、手元の余裕資金を厚くしておきたいという事情である。筆者が運営する会社はレンタルオフィスを借りたくらいで、人を雇わないので固定費はそんなに高くない。差し当って大きな資金需要もない。とはいえ、お金は、ないよりはあるほうがいい。
ここで思い出すのは、故・山崎元さんの「お金とは自由のことだ」との名言である。お金で幸福は買えないけれども、お金で避けられる不幸はたくさんある。お金とは、存在そのものが自由なのである。山崎さんによれば、お金には、①使い道の自由、②大きさの自由、③形の自由がある。詳しくは下記サイトの論考をご参照願いたい。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら