現地発レポート「近所にクマがいる日常に戸惑う日々」――秋田に暮らす人々が抱える不安と葛藤

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ツキノワグマ等情報マップシステム「クマダス」の画面
クマ出没情報を可視化している、秋田県のツキノワグマ等情報マップシステム「クマダス」。画像は、秋田市内の10月30日午前の状況。中央下にJR秋田駅がある(画像:ツキノワグマ等情報マップシステム「クマダス」より)
クマによる人身被害が相次いでいる。環境省のまとめでは、今年度のクマによる死亡事故は全国で11人(10月29日現在)。民家や学校にもクマは姿を見せ、「いつ」「どこで」遭遇するかわからない状況だ。その不安のただ中にいる人たちは、どのような日々を送っているのか。秋田市に暮らす筆者が、現地から伝える。

クマに怯える日々、変わってしまった日常

クマに怯える日々を過ごしている。

外出時、車庫のシャッターを開ける瞬間がいつも怖い。わが家のシャッターは手で上げ下げする手動式。扉を引き上げたとき、目の前にクマがいるかもしれない。朝、自宅前のごみ置き場にごみを出すときは、しつこいくらいに周囲を確認する。

わが家には小学生がおり、今は毎朝車で送っている。車を降りてから校舎に入るまでの間、クマが出ないか心配になる。夜、寝ていると窓の外にクマがいるのではないか、窓ガラスが破られないだろうか、と考える。

私の自宅は秋田市の中でも人口が密集する地域にあるが、連日クマが目撃されている。ここまでクマの存在を感じながら暮らすことになるとは、少し前まで予想すらできていなかった。

10月26日にクマが目撃され、立ち入りが規制された秋田市の「千秋公園」。29日現在も、立ち入り規制のテープが張られたままだ。千秋公園はJR秋田駅近くの市街地にある。人が行き交う普段通りの光景に「自分は心配しすぎだろうか」と思えてくる。だが、ここにクマが現れたことは事実だ。

規制テープが張られた千秋公園
秋田市の市街地にある「千秋公園」。10月26日にクマが目撃され、立ち入りが規制された(写真:10月29日、筆者撮影)
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