著名人のSNS発信で批判広がった北海道・釧路のメガソーラー、「新たな規制条例施行」も問題が解決しない複雑な事情

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会場から専門家が「希少種のオジロワシの営巣地がある」と懸念を表明。これに対して、松井社長は「ワシも大事。人間も大事。事業も大事。再エネも大事。自然環境の保全を守りながら事業ができるか。共存できるようにしたい。持っている土地の管理ができない高齢の人で、(メガソーラー開発を)泣いて喜ぶ人もいる」と答えた。

一方で、「住民が反対しても工事はできるか」と聞かれ、「指導要綱(ガイドライン)に沿って事業を行っている。許可制(の条例)でないので工事はできる」と断言。また、「関係省庁に確認したうえでここを事業地に選んでいる」として、太陽光発電施設の禁止区域を自治体が設定することはできないと説明し、法制度を熟知していることを示唆した。

また、同社が行う事業は再生可能エネルギー特別措置法(通称FIT法)に基づく固定価格買い取り制度を利用した事業形態ではないことを明らかにした。北海道電力の送電網を使い、再エネによる電力を受給したい企業に売るという。

釧路市環境保全課によると、2023年7月にガイドラインができて以降、太陽光発電所建設の届け出は41件あったが、このうち大多数の37件はFIT法に基づかない事業形態だ。

資源エネルギー庁はFIT法の改正を重ね、標識の設置といった細かなルールを含め、規制を強化してきた。「非FIT」の増加は、売電価格が下がったうえ、規制が強まってFIT事業の“うま味”が少なくなったからか。FIT法の規制が及ばない「非FIT」の存在は、新たな課題となっている。

北斗の工事現場入り口。夕方からトークイベントが開かれた23日はゲートが開いており、監視カメラが作動していた(写真:河野博子撮影)

日本エコロジー、市議会質疑や報道、北海道庁の調べで法律違反が次々に判明

「希少生物保護に関して市役所と協議し、専門家から意見を聞いている」と住民説明会で強調した日本エコロジー。しかし、2025年8月以降、同社の不十分な対応についての報道が続いた。

8月下旬、釧路市が日本エコロジーへの対応について文化庁に照会を行い、文化庁から回答があったと報じられた。事業者の調査報告が不十分で開発による影響の度合いを評価できないケースがある。その場合、釧路市で文化財保護法を担当する市教委(博物館)が影響を抑えるために必要な対応を事業者に求めることは適切か、と尋ねたものだ。

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