著名人のSNS発信で批判広がった北海道・釧路のメガソーラー、「新たな規制条例施行」も問題が解決しない複雑な事情

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野口さんは八ケ岳の山麓などいたるところに広がるメガソーラーについて、十数年前から問題を指摘し続けてきたが、「なかなかそれが継続的に広がっていかない、全国ニュースになることが少なかった」という。「それがドーンといきましてね」「全国どこでも同じ問題を抱えて、皆がもがいている」と続け、どうするべきかを訴えていきたい、と話した。

齊藤さんは、気候変動との関係を聞く会場からの質問に答え、「自然エネルギーは地球温暖化の対策、ソリューションとしてありだと思っています。私は太陽光発電という技術を否定しているわけではない。そのうえで、自然生態系への影響を最小にするためには、ものごとには順序があると思います」と強調した。

具体的には、「ゾーニングをして太陽光パネルをたてても大丈夫な場所から、例えば屋根の上とか、人の手の入り込んだ場所から順番に導入」して、そうでない場所については「こういうことならやってもいいかもしれない、と科学的根拠をもとにしっかり検討する。そこにいる生物についてきちんと基礎データをとることから始めなければいけません」と語った。

最後に、イベントを共催した釧路自然保護協会の神田房行会長が「希少生物の生息データ収集、土地の買い取りを進めるためのクラウドファンディング」への協力を求めた。

クロストークイベントで語り合う齊藤さん(左)と野口さん(写真:河野博子撮影)

地元の環境団体などが活動を重ねた結果、新条例成立

釧路湿原への太陽光発電施設の建設ラッシュは、5~6年前から顕著になった。建設が集中したのが、1987年に指定された国立公園区域の外、南部の湿地。湿原の開発をめぐって市民、行政、研究者、産業界の間で議論が行われた結果、海岸沿いの市街地と国立公園区域の間に市街化調整区域が設けられた。

市街化調整区域は開発を抑制するためのものだが、太陽光発電施設は建築基準法上の建物ではないため設置が可能で、高さ8mを超える工作物を設ける際に届け出が必要になる釧路市景観条例もスルーできる。釧路湿原は土地が平坦で積雪量が比較的少なく日照時間が長いという“好条件”もあった。

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